第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第1期

第2期

決算年月

2017年9月

2018年9月

売上高

(千円)

1,862,741

3,104,160

経常利益

(千円)

199,759

411,684

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

126,934

287,328

包括利益

(千円)

126,934

287,328

純資産額

(千円)

180,287

467,615

総資産額

(千円)

2,158,641

3,339,487

1株当たり純資産額

(円)

18.02

46.76

1株当たり
当期純利益

(円)

12.69

28.73

潜在株式調整後
1株当たり
当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

8.4

14.0

自己資本利益率

(%)

70.4

88.7

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

162,790

328,148

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

257,092

657,764

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

254,993

242,313

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

574,066

486,764

従業員数
〔ほか、平均臨時雇用者数〕

(名)

175

327

106

131

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

   2.当社は2016年10月3日設立であり、第1期は2016年10月3日から2017年9月30日までの11か月と29日となっております。

   3.当社は、2017年5月26日開催の取締役会決議により、2017年7月1日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っており、また、2019年7月10日開催の取締役会決議により、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株の株式分割を行いましたが、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を記載しております。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権の残高はありますが、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

5.第1期の自己資本利益率は連結初年度のため、期末の自己資本に基づいて算出しております。

6.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

7.第1期及び第2期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwCあらた有限責任監査法人により監査を受けております。

8.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間の平均人員(1日8時間換算)を〔〕外数で記載しております。なお、臨時雇用者数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー及び嘱託契約の社員)であります。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第1期

第2期

決算年月

2017年9月

2018年9月

営業収益

(千円)

38,760

408,414

経常利益又は
経常損失(△)

(千円)

21,698

116,964

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

21,863

105,795

資本金

(千円)

40,000

40,000

発行済株式総数

(株)

50,000

50,000

純資産額

(千円)

28,136

133,932

総資産額

(千円)

64,492

917,921

1株当たり純資産額

(円)

2.81

13.39

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

1株当たり
当期純利益又は
当期純損失(△)

(円)

2.18

10.57

潜在株式調整後
1株当たり
当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

43.6

14.6

自己資本利益率

(%)

130.6

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数
〔ほか、平均臨時雇用者数〕

(名)

15

20

4

1

 

(注) 1.営業収益には、消費税等は含まれておりません。

   2.当社は2016年10月3日設立であり、第1期は2016年10月3日から2017年9月30日までの11か月と29日となっております。

     3.1株当たり配当額及び配当性向については配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

     4.当社は、2017年5月26日開催の取締役会決議により、2017年7月1日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っており、また、2019年7月10日開催の取締役会決議により、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株の株式分割を行いましたが、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は当期純損失を記載しております。

     5.当社は、2019年7月10日開催の取締役会決議により、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株の株式分割を行っており、発行済株式総数は10,000,000株となっております。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第2期は新株予約権の残高はありますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、第1期は1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

7.第1期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

8.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

9.第1期及び第2期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwCあらた有限責任監査法人により監査を受けております。

10.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間の平均人員(1日8時間換算)を〔〕外数で記載しております。

  なお、臨時雇用者数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー及び嘱託契約の社員)であります。

11. 第1期における経常損失及び当期純損失は、事業成長の加速に伴い前倒しで従業員採用を実施したため、労務費や採用費等の費用が増大した結果であります。

 

 

(参考情報)

当社は2016年10月3日に株式移転により設立いたしました。当社の株式移転完全子会社である株式会社アンビスの主要な経営指標等の推移は、以下のとおりであります。

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

第5期

第6期

決算年月

2014年3月

2015年3月

2015年9月

2016年9月

2017年9月

2018年9月

売上高

(千円)

0

138,295

160,689

749,873

1,836,776

3,088,771

経常利益又は
経常損失(△)

(千円)

△35

11,056

36,041

△ 32,046

218,236

384,232

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

△76

8,559

18,420

△ 33,785

145,573

271,844

資本金

(千円)

9,500

15,000

15,000

50,000

50,000

50,000

発行済株式総数

(株)

950

1,500

1,500

5,000

5,000

5,000

純資産額

(千円)

9,423

23,483

41,903

49,469

195,043

373,888

総資産額

(千円)

9,501

329,119

208,095

1,553,589

2,149,338

2,673,855

1株当たり純資産額

(円)

9,919.75

15,655.55

27,935.84

9,894.00

19.50

37.38

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

18,600.00

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

(18,600.00)

1株当たり
当期純利益又は
当期純損失(△)

(円)

△80.24

8,029.60

12,280.29

△12,658.61

14.55

27.18

潜在株式調整後
1株当たり
当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

99.2

7.1

20.1

3.2

9.1

14.0

自己資本利益率

(%)

52.0

56.3

119.1

95.6

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

34.2

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用者数〕

(名)

0

13

21

137

160

307

〔0〕

〔9〕

〔23〕

〔52〕

〔102〕

〔130〕

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

   2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載しておりません。

   3.株価収益率は株式会社アンビス株式が非上場であるため記載しておりません。

    4.「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を上表に記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

   5.第3期は、決算期変更により2015年4月1日から2015年9月30日までの6か月間となっております。

     6. 当社は、2017年5月26日開催の取締役会決議により、2017年7月1日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っており、また、2019年7月10日開催の取締役会決議により、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株の株式分割を行いましたが、株式会社アンビスの第5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を記載しております。

     7.第5期において当社を設立し、株式会社アンビスから当社に対してコンサルティング料、加えて第6期からは不動産賃料及び配当金が支払われております。

         第1期、第2期、第3期、第4期及び第5期は配当を実施しておりませんので、1株当たり配当額及び配当性向については記載しておりません。

     8.第1期及び第4期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

   9.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間の平均人員を〔〕外数で記載しております。なお、臨時雇用者数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー及び嘱託契約の社員)であります。

   10.当社は、2017年5月26日開催の取締役会決議により、2017年7月1日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っており、また、2019年7月10日開催の取締役会決議により、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

 なお、当該各数値については、PwCあらた有限責任監査法人による監査を受けておりません。

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

第5期

第6期

決算年月

2014年3月

2015年3月

2015年9月

2016年9月

2017年9月

2018年9月

1株当たり純資産額 

(円)

4.95

 7.82

13.96

4.94

19.50

37.38

1株当たり

当期純利益又は

当期純損失(△) 

(円)

△0.04

4.01

6.14

△6.32

14.55

27.18

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益 


  (円)

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額) 


  (円)

 ―
  (―)


  (―)


  (―)


  (―)


  (―)

 9.30

(9.30)

 

 

  11.   第4期における経常損失及び当期純損失は、複数の医心館の新規開設に伴い労務費や採用費、開設に係る備品費等の費用が先行して発生したことによるものです。

 

 

2 【沿革】

当社は、介護保険法、健康保険法、及び、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、「障害者総合支援法」と言います。)に基づく訪問看護事業、訪問介護事業及びこれらに付随する業務を行うため、2013年9月、三重県桑名市において株式会社アンビスとして発足いたしました。創業者の柴原慶一は、医師であり生命科学分野の研究者として約20年のキャリアを有しておりますが、研究の第一線を退いて後、医療資源の十分な供給を得ることができない「医療過疎地」での地域医療の再生に係る活動や、東日本大震災の災害復興支援活動に従事しました。その後、「新たな仕組みの提案と実践により超高齢社会が直面する医療の課題を解決したい」、「閉鎖的な医療業界を健全な競争原理が働く成長産業へと昇華させる一助になりたい」という志のもと、同社を設立いたしました。そして、2016年10月に株式移転により株式会社アンビスホールディングスを東京都中央区八重洲に設立し、現在では株式会社アンビスを100%連結子会社とする持株会社体制に移行しております。

株式会社アンビス設立以後の企業集団に係る経緯は、表1のとおりであります。

 

 

表1 企業集団に係る経緯

                                           本書提出日現在

年月

概要

2013年9月

訪問看護事業、訪問介護事業及びこれらに付随する業務を事業目的とした株式会社アンビス(資本金950万円)を三重県桑名市に設立。

2014年5月

かつて医院であった病床(有床病床)を「医心館 名張」へ転換、三重県名張市に開設。構想としての在宅型の“病床”のモデル事業を開始。

2014年8月

「医心館 あま」を愛知県あま市に開設。新設の有料老人ホームを賃借し、医心館として開設した第一号モデル。

2015年4月

「医心館 名張Ⅱ」を三重県名張市に開設。

「医心館 名張」を「医心館 名張Ⅰ」へ改称。

2015年6月

医心館の管理運営、配食及び物品販売を主たる目的とした株式会社医心(100%子会社)を愛知県名古屋市西区に設立(資本金950万円)。

2015年12月

「医心館 岐阜」を岐阜県岐阜市に開設。既設の有料老人ホームを賃借し、医心館として再開設した第一号モデル。

2016年4月

「医心館 盛岡」を岩手県盛岡市に開設。医心館として建物を新設、自社保有した第一号モデル。

2016年5月

「医心館 四日市」を三重県四日市市に開設。既設のサービス付き高齢者向け住宅を賃借し、医心館として再運営した第一号モデル。

2016年6月

「医心館 本陣」を愛知県名古屋市中村区に開設。

2016年7月

「医心館 南浦和」を埼玉県さいたま市南区に開設。
 

2016年10月

株式移転により株式会社アンビスホールディングスを東京都中央区八重洲に設立(資本金4,000万円)。株式会社アンビスを100%子会社とする持株会社体制へ移行。

2017年3月

「医心館 横浜都筑」を神奈川県横浜市都筑区に開設。既設の有料老人ホームを事業譲受し、大規模施設(定員93名)を医心館として運営した第一号モデル。

2017年5月

株式会社医心の本店所在地を東京都中央区八重洲へ移転。

2017年7月

「医心館 浦和美園」を埼玉県さいたま市緑区に開設。

2017年8月

株式会社アンビスの本店所在地を東京都中央区八重洲へ移転。

2018年5月

「医心館 盛岡Ⅲ号館」を岩手県盛岡市に開設。医心館として建物を新設、自社保有で運営。

2018年6月

「医心館 横浜立場」を神奈川県横浜市泉区に開設。
 

2018年7月

「医心館 宇都宮」を栃木県宇都宮市に開設。医心館として建物を新設、自社保有で運営。

2018年9月

「医心館 盛岡」のセール&リースバック※を実施。当社における不動産流動化の第一号モデル。

2018年11月

「医心館 成増」を東京都板橋区に開設。

「医心館 新潟」を新潟県新潟市中央区に開設。医心館として建物を新設、自社保有で運営。

2019年3月

「医心館 東戸塚」を神奈川県横浜市戸塚区に開設。

2019年4月

「医心館 北浦和」を埼玉県さいたま市浦和区に開設。

2019年6月

株式会社アンビスホールディングスを存続会社として、子会社である株式会社医心(2015年6月設立)と合併。

「医心館 盛岡Ⅲ号館」のセール&リースバック※を実施。

2019年7月

「医心館 東戸塚」内において、試験的事業「重症心身障害児(者)支援」を開始。

「医心館 山形」を山形県山形市に開設。

2019年8月

「医心館 宇都宮Ⅱ」を栃木県宇都宮市に開設。

 

※ 当社が所有する建物や設備などの固定資産を貸手に売却し、貸手からその資産のリースを受ける取引

 

 

また、医心館の展開状況は、表2及び表3のとおりであります。

 

表2 展開状況(その1)

                                           本書提出日現在

圏域

都道府県

施設名

開設年月

出店方法

定員(名)

中京

三重県

医心館 名張Ⅰ

2014年5月

賃貸

 22

中京

愛知県

医心館 あま

2014年8月

賃貸

 40

中京

三重県

医心館 名張Ⅱ

2015年4月

賃貸

 24

中京

岐阜県

医心館 岐阜

2015年12月

賃貸

 38

東北

岩手県

医心館 盛岡

2016年4月

自社保有※1

 40

中京

三重県

医心館 四日市

2016年5月

賃貸

 28

中京

愛知県

医心館 本陣

2016年6月

賃貸

 21

首都

埼玉県

医心館 南浦和

2016年7月

賃貸

 29

首都

神奈川県

医心館 横浜都筑

2017年3月

事業譲受

 93

首都

埼玉県

医心館 浦和美園

2017年7月

賃貸

 30

東北

岩手県

医心館 盛岡Ⅲ号館

2018年5月

自社保有※2

 54

首都

神奈川県

医心館 横浜立場

2018年6月

賃貸

 50

北関東

栃木県

医心館 宇都宮

2018年7月

自社保有

 51

首都

東京都

医心館 成増

2018年11月

賃貸

 44

甲信越

新潟県

医心館 新潟

2018年11月

自社保有

 41

首都

神奈川県

医心館 東戸塚

2019年3月

賃貸

 56

首都

埼玉県

医心館 北浦和

2019年4月

賃貸

 43

東北

山形県

医心館 山形

2019年7月

賃貸

 40

北関東

栃木県

医心館 宇都宮Ⅱ

2019年8月

賃貸

 42

合計

786

 

 ※1 2018年9月のセール&リースバックにより不動産が流動化され、現在では賃貸案件として運営しております。

 ※2 2019年6月のセール&リースバックにより不動産が流動化され、現在では賃貸案件として運営しております

 

表3 展開状況(その2)

                                  本書提出日現在


 

     表中における、●印と■印は次のことを示しております。

 

     ●都市型モデル:大都市部(首都圏等)でのドミナント戦略

            ・量的に大きな需要がある大都市部において、集中的な出店による事業効率性を獲得します。

      ・施設間の移動所要時間を30分~1時間以内で設定し、ドミナント戦略エリア内で医心館入居者

       定員200~300名の集中出店を目指します。このドミナント戦略は、人員の採用及び配置、営業

       活動や組織マネジメントなどで競争優位を得るものと考えております。

 

     ■地方都市モデル:閉鎖的地方都市での高シェア戦略

       ・市場の魅力が大都市部より劣ることから参入が躊躇されやすい地方都市において、他社に先行

       して出店することでエリア支配による先駆者利益を獲得します。

      ・商業が一般的に成立し得、かつ在宅医療の基盤が一定程度に整備されている地方都市にスポッ

       ト出店します。医療過疎地あるいはその周辺地であることが多い閉鎖的地方都市への出店は、

       収益性と設立時の事業テーマとの両立(持続可能な地域医療の強化再生)を実現することを意

       味しております。

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社と連結子会社の2社で構成され、当社は持株会社であります。当社の連結子会社には株式会社アンビス(以下、「アンビス」と言います。)があります。また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

まず、当社の中核事業は、アンビスに対する、住宅型有料老人ホーム等※1の運営及び経営に係るコンサルティング、住宅型有料老人ホーム等の用に供するための土地及び建物の賃借の実施であり、アンビスが当社の主たる収益源となっております。

 

  ※1 住宅型有料老人ホーム等にはサービス付き高齢者向け住宅も含みます。

     住宅型有料老人ホームとは、老人福祉法に定められた手続きを経て設置された高齢者のための住居であり、厚生労働省が所管しています。

         サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者住まい法に定められた手続きを経て設置された賃貸住宅であり、国土交通省が所管しています。

 

つぎに、アンビスの中核事業は、医療施設型ホスピス事業※2であります(図1)。アンビスでは、住宅型有料老人ホーム等「医心館」施設内における訪問看護、訪問介護、居宅介護支援及び障害者を対象とした居宅介護といった各種サービスの提供と施設運営により、医療施設型ホスピス事業を行うことを「医心館事業」と称し、現在のところ当社グループの主軸事業となっております。

グループ会社として連携することで、医療依存度が高い方、例えばがん末期状態にある方、人工呼吸器を装着されている方、神経変性疾患等を患っている方ほかを積極的に受入れ、特化して慢性期や終末期における看護ケアを提供いたします。具体的には、アンビスがそれを行い、当社が「医心館」の出店戦略の企画から協力医療機関の獲得、顧客営業先の開拓、集客・サービス提供状況の分析及び改善、適正運営の確保、診療/介護報酬請求、債権管理、物品調達までのサポートを行うことで、当社グループは一気通貫型の地域医療/看護の強化再生ビジネスモデル(以下、これらの総称を「医心館事業」と言います。)を構築しております。

  なお、当社グループの報告セグメントは医心館事業のみの単一セグメントであります

 

図1 アンビスの中核事業「医療施設型ホスピス」の位置づけ(当社グループによる定義)

 


 

※2 安心な住まいを提供して、質量ともに整った看護体制により入居される方々へ医療とケアを届ける事業を「医療施設型ホスピス」事業と当社グループで定義しております。

※3 難治性の病態、もしくは終末期にある医療依存度が高い方々を病院ではなく、地域で支える事業を総称して、「在宅ホスピス」事業と当社グループで定義しております。

 

医心館事業

主にはアンビスが運営する医心館事業では、訪問系サービスである「訪問看護」、「訪問介護」及び「居宅介護支援」等と施設系サービスである「住宅型有料老人ホーム」等とを有機複合的に組み合わせることにより、退院後の行き先に不安や心配がある医療依存度が高い方やその家族といった顧客の幅広いニーズに応える「医心館」を1都9県、19施設を事業所として展開しております(本書提出日現在)。また、医心館では障害者の受入れにも取り組んでおり、障害者総合支援法によるサービス提供を行っております。特に看護師の人員体制を強固にすることで、医療依存度が高い方の慢性期や終末期の療養において充実した看護ケアを提供していることを特徴としております。また、原則として医師、薬剤師や介護支援専門員(以下、「ケアマネジャー」と言います。)を外部化(業務委託ではなく、医療・介護従事者の共感に基づく連携と協力関係のこと。当社では“医師、薬剤師やケアマネジャーのアウトソーシング”と表現しております。)することで、事業の透明性と公正性を担保し、在宅療養を含めた地域包括ケアシステムや「地域医療」のプラットフォームの一翼を担う存在として地域から認められることを目指しています。

医心館側の視点からは、慢性期や終末期の療養生活の場では、医師が施設に常駐して医療を提供する必要性は小さく、連携と協力関係を礎に非常駐化と外部化が可能であるため、看護や介護への人材投入の余力が発生します。一方、地域の開業医等病床をもたない医院(無床診療所)側の視点からは、病床を必要とする患者を診る必要が生じた際には、医心館のベッドを利用することで対応が可能となり、実質的に病床を有するような状態となることで患者対応力の向上につながると考えております。かつ診療時間外に患者の容態や病床を管理する負担が軽減されます(当社では“シェアリング病床”と表現しております。)。また、病床を有する市中病院においても病床回転率が向上し、経営の安定につながると考えております。これらのことを事由のひとつとして、医心館(当社グループ)と医療機関等との間では強固な信頼関係が築かれていると考えております。

なお、事業の内容に関しましては、章末に「用語集」として用語の解説を記載しております。

 

医心館事業で提供する各サービスの内容は以下のとおりであります。アンビスの売上高は、主にこれらサービスの提供を通じて社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等(以下、「国保連等」と言います。)の審査支払機関から得る診療報酬・介護報酬等の保険売上と、入居者から得るホテルコスト(家賃、食費、水道光熱費・管理費等)等の保険適用外売上により構成されております。

 

① 訪問看護/介護予防訪問看護

・利用者に対する訪問看護サービスを提供し、このことに対して、国保連等の審査支払機関から得た報酬(医療保険制度による場合は診療報酬、介護保険制度による場合は介護報酬)を主に売上として計上いたします(一部、利用者の自己負担(1~3割)あり。以下、各報酬に対する売上について同じ。)。

・訪問看護は、老人保健法の改正(1992年)により創設された老人訪問看護制度に基づき事業化されたもので、何らかの病気や障害のある方が、自宅で療養生活をおくることを希望した際に、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき、療養上の世話及び診療の補助を実施していくものであります。

・健康保険法等の改正(1994年)によって、老人医療の対象とはならない難病児者や障害児者等を含め、すべての年齢の在宅療養者に対して訪問看護を提供することが可能となっております。

・訪問看護を提供する者は、国家資格又は都道府県知事資格免許をもった看護師、准看護師、保健師等、理学療法士、作業療法士等となっています。
また、サービスを提供する法人形態は、医療法人、社会福祉法人、特殊法人をはじめ、株式会社等の営利組織、非営利組織など様々であります。

・訪問看護で提供できる療養上の世話とは、リハビリテーション、排泄及び身体清潔への援助などを指しております。
また、診療の補助とは、留置カテーテルやドレーン類の管理、点滴の実施、その他に注射類、在宅酸素及び人工呼吸器の管理、褥瘡の処置など多岐にわたります。

・一般的に病院での急性期治療が終わり、退院後も医療的なケアを必要とされる方が利用します。
一方で、介護予防訪問看護は、現時点で寝たきりや痴呆等により常時介護を必要とする状態(要介護)には及ばないが、家事や身支度等の日常生活に支援が必要になった状態(要支援)の方が進行悪化し、前者の状態になることをできる限り防ぐ目的で実施されます。

・アンビスでは、医心館の同一敷地内に訪問看護事業所を併設し、入居者に対し、訪問看護サービスと訪問介護サービスを併せて提供しております。

 

② 訪問介護/介護予防・日常生活支援総合事業

・利用者に対する訪問介護サービス等を提供し、①同様、国保連等の審査支払機関から得た報酬を主に計上いたします。

・ホームヘルパー(訪問介護員)や介護福祉士が要介護者の自宅を訪問し、入浴や排泄、食事、着替えなどの介護(身体介護)や、調理、洗濯、掃除などの家事や生活等に関する相談、助言(生活援助)を受けることができるものであります。

・一方、要支援者については、介護予防・日常生活支援総合事業に基づく訪問型サービスが受けられます。
2018年3月までは要支援者を対象とする居宅サービスとして介護予防訪問介護がありましたが、2018年4月から介護予防訪問介護は介護予防・日常生活支援総合事業に移行されました。

・アンビスでは、医心館の同一敷地内に訪問介護事業所を併設し、入居者に対し、訪問介護サービスと訪問看護サービスを併せて提供しております。
サービス内容は、ケアマネジャーなどが作成したケアプランに基づいて設定されています。

・アンビスでは、各種サービスの利用者に説明を行ったうえで契約を締結、その後にケアプランに沿ったサービス提供を行います。
医心館の入居者は要介護度が高い方が多いため、主として身体介護サービスを提供しております。

・アンビスが提供したサービスの対価は、原則として、サービス利用料の1割~3割を利用者に請求し、残り7割~9割を国民健康保険団体連合会に請求します。

 

③ 居宅介護支援

・サービスの利用者から依頼を受けて、その心身の状況やおかれている環境、本人や家族の希望などを考慮したうえで、利用するサービスの種類や内容などの居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成するサービスのことであります。

・居宅サービス計画書の作成の他にも、その計画に基づいてサービスが適切に提供されるよう、サービス事業者や施設などとの連絡調整も行います。

・アンビスでは、「医心館 あま」「医心館 盛岡」「医心館 浦和美園」「医心館 横浜都筑」「医心館 宇都宮」「医心館 横浜立場」「医心館 東戸塚」「医心館 新潟」(本書提出日時点)に居宅介護支援事業所を併設しておりますが、医心館の入居者は外部の居宅介護支援事業所のサービスを受けることが可能であり、その選択は自由であります。

・アンビスでは、同社のケアマネジャーがケアプランを作成するなど、要介護認定者の介護保険サービス利用を支援した場合、介護保険での報酬を請求し、これを売上として計上いたします。
報酬額はサービス利用者の要介護度に応じて設定されており、居宅介護支援サービスについては、利用者の負担はなく全額が介護保険から給付されます。

 

④ 居宅介護/重度訪問介護

・障害者総合支援法に基づき、障害のある方が住み慣れた地域で生活するため、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした居宅介護サービス及び重度訪問介護サービスの提供を行うものです。

・居宅介護とは、自宅で、入浴、排泄、食事の介護等を行うものであります。

・重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方(2014年4月より対象者が重度の知的障害者・精神障害者に拡大)に、自宅で、入浴、排泄、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行うものであります。

・これらのサービスは、個々の方の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に報酬の支給決定が行われます。アンビスでは、これらサービスの提供に基づく報酬を売上として計上いたします。

 

[事業系統図]

事業の内容を事業系統図により示すと図2のとおりであります。

 

図2 事業系統図

 


 

[事業化の背景と事業機会]

医心館事業の事業化の背景と事業機会は以下のとおりであります。

 

(1) 地域医療の疲弊・破綻

医療過疎地にある病院では経営赤字と医師の慢性的な不足という共通課題を抱え、病床の休廃止や廃院の危機に瀕しております。医師の確保が難しい背景には、日常の外来診療や病棟管理のほか、救命救急や周産期といった緊急性が高い対応までを少ない人員で行わざるを得ない結果としての過密な労働環境があります。労働環境を改善するべく、病院の経営側は医師の確保を試みるも叶わず、給与条件を引き上げることで人件費は高騰し、経営状況はさらに圧迫され、病床の休廃止や外来閉鎖、サービスの質量低下で患者数は一層減少、さらなる経営悪化で廃院するといった構造的な問題(地域医療の崩壊スパイラル)が存在しております。

 

(2) 医療ケア難民化

 わが国の超高齢社会(65歳以上の人口割合が全人口の概ね20%を超えている社会)は、医療や介護の需要がさらに高まることに併せて、「多死社会」を実相としており、人生の最終段階を「在宅(自宅や施設等)」で過ごすことを希望する方、さらには要介護度が高く医療を必要とする在宅療養者が急増する状況に、現状はその適切な受け皿や仕組みの整備が質量ともに不十分であります。

 これまで受け皿としての機能を果たしてきた、療養病床をはじめとする慢性期病床は、総数削減の方向性が示されております(病床機能評価の厳格化)。2014年に創設された地域包括ケア病床に関して、患者を病院内及び病院間で移動させるのではなく、「在宅」に帰す(在宅復帰)割合を上げることに対し高い報酬が設定されている(出所:中央社会保険医療協議会総会(第389回)資料、2018年2月7日)ことからも明らかなように、国は「時々入院、ほぼ在宅」といった、病院から「在宅」へという流れを強力に推進しております。この病床機能評価の厳格化の背景には、病床機能分化と全体的な病床数の削減、とりわけ療養病床の再編を促進する意図があると考えております。

 35.4万床(2015年7月時点)ある慢性期病床(そのうち75%が療養病床)は、その約2割を縮減して28.4万床とし、縮減の行き先を介護施設や在宅医療等の利用で補うとされております(出所:平成29年第5回経済財政諮問会議資料、2017年4月12日)。また、国は「超高齢」「多死」社会の進展に伴う需要の増大に対し、地域で関係機関及び職種が連携し一体となって患者を支えること(地域包括ケアシステム)を構想しております(出所:厚生労働省ホームページ「政策について/地域包括ケアシステム」ほか)。しかしながら、その整備状況については地域差が大きく、医療資源や機能的な連携が不十分であり需要に応えられる状況にはありません。療養病床を削減するその先、療養病床に代わる「療養の場」は時間を経るごとにますます社会全体で、特に医療過疎地で不足していくことを予想いたします。

 このような状況において、病床の不足から退院後にかかりつけ病院等へ転院できない、医療的な対応の不足から介護施設等へ移れない、なおさら家族等での負担が増えることから自宅へさえ戻れないといった、医療依存度が高い方の退院後の行き先に係る問題「医療ケア難民化」が存在しております。

 

[医心館事業の特徴]

当社グループが行う事業の特徴は、以下のとおりであります。

(1) 医心館事業の概要

医心館事業は「医心館」と称する住宅型有料老人ホーム等の運営と、施設内における訪問看護事業所、訪問介護事業所の運営による医療施設型ホスピス事業であります。住宅型有料老人ホーム等では職員が24時間365日、入居者の見守りと健康管理を行い、訪問看護事業所と訪問介護事業所のそれぞれの職員は、医師の訪問看護指示あるいはケアマネジャーのケアプランに従い、入居者への日常的なケアに加えて病変時対応を行います。これらの点では、他の事業者が運営する有料老人ホーム等と運営方法に決定的な違いはなく、建築物の構造及び設備にも大きな特徴もありませんが、事業を安定的かつ持続的に発展運営するため、「医心館」は以下に掲げる特徴を有しております。

 

(2) 医心館事業の特徴

① 入居者からみた医心館事業の特徴

 医心館は、医療依存度が高い方々の安寧と尊厳のために、安心して暮らせる療養の場を提供できるよう事業を展開しております。一般的な介護施設では受け入れることが困難な、がんの末期状態にある方、特定疾患等の難治性の病を患う方、人工呼吸器の装着や気管切開で呼吸管理が必要な方、看取り対応の方、入退院を繰り返さざるを得ない方、重度障害により「在宅」での日常生活が困難な方など、いずれも医療依存度が高く「自宅等」で看護・介護を十分に得ることが難しい方々に対して、慢性期・終末期の“療養”の機能を“住まい”に付加した場(退院後の行き先)を提供し、看護職員がメーンプレイヤーとなって、最期まで責任あるケアを提供しております。

 医療資源(医療従事者及び業務補助者、医療施設及び設備など)の充足状況と、結果としての医療提供状況は、地域ごとに大きく異なるため、医心館では医療機関との棲み分けを考慮しながら、地域のニーズに応じて柔軟に受入れ対象を調整しております。

 医心館では、常時複数の医師、薬剤師らと連携して入居者に必要な医療を提供しており、仮に入居者の病状が変化して、現在の主治医では対応が難しいような場合、専門分野を異にする医師の診療が必要になるような場合には、医心館の看護師を介して入居者への紹介が行われます。これは、地域の医療従事者等の円滑な連携によって、入居者にとって真に必要な医療が提供される仕組みと言え、結果として医心館のみならず、その地域における在宅医療の質的な向上と医療資源の効率的な利用を期待することができます。

 

② 収益構造からみた医心館事業の特徴

 医心館事業の収益は、医療保険報酬+介護保険報酬+その他保険報酬+ホテルコスト収益(家賃、食費、水道光熱費・管理費等の合計)の四層構造となっております。

 医心館は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設や他の介護施設(有料老人ホーム等)と異なり、医療依存度が高い方に特化した施設であるため、病院から在宅へのシフトを推進する政策の「追い風」環境下において、介護保険報酬に加えて医療保険報酬の両方から収益を得、事業運営は安定していることが最大の特徴であります。

 また、収益の主柱をこれらに求めることで、ホテルコストに過度に依存しない事業運営が可能となります。このことで、医心館ではホテルコストをその地域での低価格に設定し、入居者の経済的な負担を軽減しております。これは、入居一時金や高い家賃などのホテルコストが入居希望者に忌避されることを避け、結果として入居者獲得の機会を増やし、獲得後には入居期間の延長に繋がり、また病院からの逆紹介等の切迫した受入れ依頼に対しても迅速に応じ、病院との連携強化、信頼醸成が進むなど好影響をもたらす要因となっております。

 

③ 人員体制から見た医心館事業の特徴

・手厚い看護体制

医療依存度が高い方の医療需要に応えるため、経験豊か (総合病院に一定期間勤務している等) な看護職員を、一般病棟入院基本料に係る施設基準(入居者数:一日に看護を行う看護職員数が10:1~13:1)と同等数で人員配置しております(ただし、医心館もしくは併設する訪問看護事業所に配置する人数の合計)。

 

・在宅療養に関わる人材の育成

今後の「多死」社会への対応を考えるとき、看取りを支える人材を育成していくことが必要となります。医心館では、2014年5月~2019年7月の間、1,333名の方の看取りに対応いたしました。この数は医心館の累計定員744名を上回る数であり(表4及び表5、図3)、また期間中の施設総数18で除すると(1施設当たり)74名となり、アンビスの職員の多くが医心館で終末期に係る医療や介護の経験を積み、その経験を個人として、また組織として次回の看取りに還元しています(デスカンファレンスの実施など)。このことは、医心館事業が社会の要請にかなった、在宅療養に関わる人材を育成している証であります。

 

④ 連携先からみた医心館事業の特徴

 医心館では、原則として医師、薬剤師やケアマネジャーを外部化することで、事業の透明性と公正性を担保し、同時に医療依存度が高い方のケアへの共感を軸に協業を図ることで、在宅療養を含めた地域包括ケアシステムや「地域医療」のプラットフォームを組み立てていることを特徴としております。なお、アンビスを含め当社グループは病院等の系列には属さず、また特定の医師と包括的な資本関係を持たない事業運営を行っております。

 

 本書提出日現在、アンビスが運営する医心館は、19施設(中京圏6施設173名定員、東北圏3施設134名定員、首都圏7施設345名定員、北関東圏2施設93名定員、甲信越圏1施設41名)、合計786名定員となりました。これまで、延べ2,236名(2019年7月31日現在)の利用者を得ております。当社グループでは、医心館の出店ポートフォリオ(展開区分)を「都市型モデル」及び「地方都市モデル」としており、それぞれの売上高構成比は図4のとおりであります。最近では、都市型モデルの売上高構成比が地方都市モデルのそれを上回る状況にありますが、特段に都市型モデルへのシフトを進めているわけではなく、これらモデルが両立する展開を進めるうちに現在の均衡的な状態に行き着いたものであります(都市型モデルの売上高構成比に地方都市モデルのそれが拮抗している状況は、当社グループの事業展開において特徴的であり、また当社グループの事業趣旨に整合的であります。)。

 なお、出店ポートフォリオの内容については、前述の表3において注記しております。

 

 

表4 「医心館」開設数及び定員数の推移

 

 

開設(か所)

定員(名)

新規

累計

新規

累計

2014年9月末

2

2

42

42

2015年9月末

1

3

24

66

2016年9月末

5

8

148

214

2017年9月末

2

10

131

345

2018年9月末

3

13

175

520

2019年7月末

5

18

224

744

 

 

表5 「医心館」入居者数及び看取り数の推移

 

 

入居者(名)

看取り(名)

新規

累計

新規

累計

2014年9月末

45

45

11

11

2015年9月末

111

156

37

48

2016年9月末

260

416

98

146

2017年9月末

384

800

231

377

2018年9月末

562

1,362

374

751

2019年7月末

874

2,236

582

1,333

 

 

図3 「医心館」定員数に対する入居者数と看取り数の推移

 


 

 

図4 出店ポートフォリオ(展開区分)別の売上高構成比


 

 注 第1期(2017年9月期)及び第2期(2018年9月期)には、それぞれ23百万円及び1百万円のその他収入がありましたが、上記のグラフにはこれらを含んでおりません。

 

 

 

〈用語集〉

 

在宅療養

疾病をかかえた方々が自宅や施設等で必要な医療や看護を受けること。
1992年の医療法二次改正により「居宅等」が医療を行う場として法的根拠を持つに至り、2008年の診療報酬にその範囲が定められている。自宅、社会福祉施設・障害者施設の他、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能居宅介護等の居住系施設が含まれる。

在宅療養において請求できる診療報酬としては、往診、訪問診療、訪問看護など医療従事者が訪問して行う医療を評価するものと在宅自己注射、在宅酸素療法など、患者が自ら行う在宅医療を評価するものがある。

国は、医療提供体制の改革において、病院から在宅へという流れを推進しているが、ここでの在宅とは自宅への退院だけでなく、上記居住系施設が含まれる。

訪問看護

国家資格免許を持った看護師又は都道府県知事資格免許をもった准看護師及び保健師等が、保健師助産師看護師法に基づき、医師(主治医)の指示により疾病又は負傷を持った人の自宅を訪問し、在宅で療養上の世話又は必要な診療補助(心身の状況の観察、体温・脈拍・血圧・血中酸素飽和度の測定、排泄の介助やおむつ交換、痰の吸引、口腔ケア、食事の介助、胃瘻からの水分・人工栄養剤・医薬品の投与など)を行う。医療行為を行う点で、訪問介護とは異なる。

訪問介護

訪問介護員が居宅等を訪問して、食事、排泄やおむつ交換、着衣の交換、寝具の交換、車いすへの移動、通院・通所・外出などの日常生活動作の介護、料理、洗濯・洗濯物の乾燥・洗濯物の取り込み・洗濯物の収納、掃除、買い物などの日常家事の介護を行うもの。

居宅介護支援事業

介護を必要とする人が適切なサービスを利用できるよう、本人や家族の要望に沿って、ケアプランの作成や見直しの他、サービス事業者や施設との連絡調整も行うもの。居宅介護支援事業所では、介護支援専門員(ケアマネジャー)が以下のような業務を行う。

・要介護認定申請の受付、申請書の提出

・介護認定調査の実施

・指定居宅介護サービス事業所、介護保健施設の紹介及び提供事業所との連絡調整

・居宅介護サービス計画作成、サービス担当者会議で要介護者が受けるサービスの検討

・サービス計画に基づいたサービス提供の管理

・サービスの再評価とサービス計画の練り直し

居宅介護
(ホームヘルプ)

障害者福祉サービスの内容であり、障害程度区分が区分1以上(障害児にあってはこれに相当する心身の状態)である者が、居宅において、入浴、排泄及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言、その他の生活全般にわたる援助を受けるもの。

重度訪問介護

障害者福祉サービスの内容であり、重度の肢体不自由者で常時介護を必要とする障害者に、居宅において、入浴、排泄及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うもの。2014年4月から対象者は重度の知的障害者・精神障害者にまで拡大されている。

住宅型有料老人
ホーム

老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、老人の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活の安定のために必要な措置として設けられる高齢者のための住居。

設置主体に限定はない(営利法人中心)。対象者は老人であるが、根拠法に老人の定義がないため、社会通念上の解釈による。入居者の①入浴、排泄又は食事の介護、②食事の提供、③洗濯、掃除等の家事、④健康管理のいずれかをする事業を行う施設と定義される。

 

 

 

 

サービス付き
高齢者向け住宅

高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)第5条の基準により登録される、介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅。介護保険法上の類型はなく、外部サービスを活用する。設置主体に限定はない(営利法人中心)。対象者は、単身・夫婦世帯で、60歳以上の者あるいは要介護、要支援認定を受けている60歳未満の者に限定される。入居者の状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅と定義される。

介護保健施設

介護保険で被保険者である利用者にサービスを提供できる施設。介護保険施設には、介護老人保健施設のほかに、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設がありそれぞれ設置基準が異なる。

地域包括ケアシステム

高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、在宅医療を促進する上での拠り所となる地域の包括的な支援・サービスの提供体制のこと。
背景には、日本の医療提供体制が世界各国に比較して人口当たりの病床数が多く、入院日数が長いという特徴を有することがあり、高齢者向け医療・介護サービスへの需要がますます増加するなか、国の財政事情に鑑みて医療や看護の効率化を進め、必要な人に必要な医療・介護を提供することが必要との考えを背景としている。2018年度の診療報酬改定においても、入院から在宅へという流れを一層促進するため、病床機能評価を厳格化し、地域の住まいを拠点とした総合的な医療介護連携を地域包括ケアシステムによって実現することが目標に掲げられている。

医療依存度

人工呼吸器管理や酸素療法、経管栄養など、医療を施さなければ生存が難しい状態の度合いのことで、医療依存度の高さが退院後の在宅療養や介護施設の受入れ可否に係る条件の一つとなる。医療依存度が高い患者への対応には、病棟勤務経験のある看護師など、日ごろのケア方法を熟知した上で、急変の兆しや異常を見落とさないこと、緊急時の正しい対応など、医療面の知識を有し、プライバシーの保護方法などを学んでおく必要がある。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社アンビス
(注)1、3

東京都中央区

50,000

居宅サービス、訪問看護・訪問介護事業及びそれらに付随する業務

100

役員の兼任3名

子会社、経営指導及び不動産賃貸

株式会社医心
(注)4

東京都中央区

9,500

介護・生活用品販売及びそれらに付随する業務

100

役員の兼任1名

子会社

 

(注) 1.特定子会社であります。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3.株式会社アンビスについては、売上高(連結会社相互間の内部取引売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等      ① 売上高           3,088,771千円
(2018年9月期)    ② 経常利益          384,232千円
           ③ 当期純利益        271,844千円
           ④ 純資産額          373,888千円
           ⑤ 総資産額         2,673,855千円

4.2019年6月1日付で当社を存続会社として、株式会社医心は吸収合併されました。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2019年7月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

医心館事業

 529(231)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は最近1年間の平均人員(1日8時間換算)を()外数で記載しております。なお、臨時雇用者数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー及び嘱託契約の社員)であります。

   2.最近日までの1年間において従業員数が202(100)名増加しております。主な理由は新規施設の開設に伴い期中採用が増加したものによるものです。

    3.当社グループは、医心館事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

2019年7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

20(1)

36.2

1.5

5,420

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は最近1年間の平均人員(1日8時間換算)を()外数で記載しております。なお、臨時雇用者数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー及び嘱託契約の社員)であります。

     2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

     3.平均年間給与は、中途入社者、臨時社員を除く期末在籍者数を基に計算しております。

   4.当社は、医心館事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。