第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

2014年12月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

売上高

(千円)

1,602,667

1,869,917

1,899,263

2,131,833

2,364,018

経常利益

(千円)

116,353

2,332

146,247

291,543

291,086

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

22,153

95,156

84,726

206,938

202,525

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

45,312

74,912

74,912

74,912

74,912

発行済株式総数

(株)

445

519

519

519

519,000

純資産額

(千円)

329,749

293,793

378,519

585,458

787,984

総資産額

(千円)

929,319

925,808

875,243

1,167,201

1,249,172

1株当たり純資産額

(円)

741,011.09

566,076.18

729,325.26

564.03

759.14

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益
又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

49,783.45

213,542.74

163,249.09

199.36

195.11

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

35.5

31.7

43.2

50.2

63.1

自己資本利益率

(%)

7.0

25.2

42.9

29.5

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

188,107

101,711

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

8,924

32,630

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

64,684

81,432

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

332,128

319,776

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

(名)

84

98

110

113

134

40

53

57

63

60

 

(注) 1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については、記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

4.第14期はソフトウェア仮勘定として計上していた無形固定資産の一括償却に係る費用43,729千円、一般債権及び貸倒懸念債権に対する貸倒引当金25,426千円を計上した結果、経常利益は2,332千円となりました。また、取引先に対する貸倒損失により差引で130,801千円の損失を計上した結果、95,156千円の当期純損失となりました。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第13期、第15期及び第16期においては、潜在株式が存在しないため記載しておりません。第14期においては、潜在株式が存在せず、かつ、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。また、第17期においては、潜在株式は存在しますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

7.自己資本利益率については、第14期は当期純損失であるため記載しておりません。

8.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

9.第13期、第14期及び第15期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

10.従業員数は当社から他社への出向者を除いた就業人数であり、臨時従業員数は〔〕内に年間平均人数を外数で記載しております。

11.第13期、第14期及び第15期については「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、第13期及び第15期については、株主総会において承認された数値について誤謬の訂正による修正再表示を反映しております。当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

12.第16期及び第17期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

13.2018年3月12日付で普通株式1株につき1,000株、2019年6月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、第16期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

14.2018年3月12日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行い、2019年6月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人 (現日本取引所自主規制法人) の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号) に基づき、第13期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第13期、第14期及び第15期の数値については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

 

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

2014年12月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

1株当たり純資産額

(円)

370.51

283.04

364.66

564.03

759.14

1株当たり当期純利益又は

1株当たり当期純損失(△)

(円)

24.89

△106.77

81.62

199.36

195.11

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 

年 月

変    遷    の    内    容

2002年1月

当社を設立

2002年12月

証券会社向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始

2003年10月

資産運用会社向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始

2006年7月

信託銀行向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始

2007年1月

顧客向けコンサルティングの一環として一般労働者派遣事業許可証を取得

2011年7月

金融事務(投資信託の適時開示レポート)におけるアウトソーシングを開始

2012年1月

旅行業法に基づき旅行業登録し、航空券手配代行サービスを開始

2012年6月

福岡オフィス(航空券手配代行サービス)を開設

2012年7月

銀行向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始

2015年6月

芝大門オフィスを開設

2017年12月

Microsoft Silver Cloud Platformコンピテンシー(注1)を取得

2018年2月

UiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約(注2)を締結

2018年8月

一般事業者向けにRPAライセンス販売及びRPA導入サポートサービスを開始

2019年4月

RPAビジネス推進を目的として大手町二丁目オフィスを、関西地区の取引強化を目的として大阪オフィスを開設

 

(注)1.当社は「Microsoft Azure」の資産運用会社向けサービスにおける活用実績及び事例が認められ、Microsoft Silver Cloud Platformコンピテンシーの認定を受けております。Microsoft Silver Cloud Platformコンピテンシーとは、Microsoftパートナーとして質の高いソリューションが提供できる会社であることを日本マイクロソフト株式会社が証明する認定であります。

2.当社は、資産運用会社向けサービスの実績を評価され、ゴールドパートナーとしてUiPath社の製品の販売権利に関する契約を締結しております。ゴールドパートナーとは、UiPathパートナーとしてUiPath製品の機能や技術について十分な知識を有した技術者を抱え、UiPath株式会社とUiPathソリューションの取り扱いに関する契約を締結したパートナーであり、かつUiPathライセンス販売の正規代理店であることをUiPath株式会社が証明する認定であります。

 

 

3 【事業の内容】

当社は「俯瞰的な視点で世の中の非効率を解消していくことで、“より満足度の高い未来”を創造する」という企業ビジョンを掲げて、資産運用会社等金融機関に向けた業務コンサルティング・システム受託開発・運用保守及び顧客企業からの業務のアウトソーシング受託、並びに法人に向けたRPAライセンスの販売及び導入サポート等を行っております。

当社は、「ビジネステクノロジーソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しております。

 

当社の主な提供サービスの内容は次のとおりであります。

①システムインテグレーション

資産運用会社をはじめとする金融機関を対象に業務コンサルティング及びシステムの受託開発(システム設計・開発)並びに運用保守を行っており、当社の主要サービスであります。具体的には、レポーティング関連システムの開発、コンプライアンス関連システムの開発、発注関連システムの開発等を行っております。

金融機関では、システムインテグレーター(注1)(以下、「SIer」という。)等が提供する様々な汎用サービスを利用しておりますが、当該サービスに接続できる環境を整備しただけでは、実際に汎用サービス等のシステムを使用するビジネス部門において、既存のシステムと上手く接続がされないなど業務上利用しやすい状態とはならない場合があります。当社では、各ビジネス部門のニーズを満たすために、SIer等の汎用サービス間や顧客内のシステムを連携させたり、付加機能の開発を行っております。

当社は顧客企業が各種汎用サービス導入後、エンドユーザーであるビジネス部門が利用できるまでの最後の部分を「ラストワンマイル」と呼び、これらを最適化することを主な事業としております。

 


 

金融機関は新商品対応や金融規制への対応、グループの統廃合によるシステムの統廃合、AI・IoT・ビッグデータ・RPAといった新たなテクノロジーの組み込み等、業務プロセスの変更や新技術の導入機会が多く存在しております。当社は、「企業向けITにおけるラストワンマイルを最適化する」というミッションを実現すべく、ユーザーに密着した業務コンサルティング及びシステムの受託開発並びに運用保守を行っております。

 

②アウトソーシング(注2)

システムインテグレーションの補完的な位置付けとして、金融機関の付随業務の受託やチーム単位での人材派遣を行うことにより、顧客企業の業務プロセスの一部を代行するサービスを提供しております。具体的には、投資信託適時開示・法定開示レポーティング、投信レポートデリバリー等を行っております。また、事業会社の総務部門のアウトソーシングとして、航空券の手配代行サービスを行っております。

 

 

③RPA関連サービス

RPA(注3)は「複数のシステムを接続し、業務を最適化すること」を目的としており、「ラストワンマイルの最適化」を行ってきた当社のシステムインテグレーションサービスとの親和性が非常に高いサービスであると考えております。

当社は、これまで培ってきた「ラストワンマイルの最適化」に関する業務プロセスの自動化を一層推進するため、2018年2月にUiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約を締結し、同年8月より一般事業会社向けにRPAソフトウェアであるUiPath RPA Platformのライセンス販売及び導入サポートを行っております。UiPath社はRPAソフトウェアにおけるリーディングカンパニーであり、世界200カ国40万ユーザー以上に利用されており、Fortune Global 500企業のトップ10企業のうちの8社、トップ50企業の50%以上、米国海軍等に採用(出典:UiPath株式会社「米UiPath社、シリーズD資金調達ラウンドで5億6,800万ドルを調達」(2019年5月8日))されております。当社では、既に取引を行っていた金融機関に加えて、その他の業界の法人に対してもサービスを提供しております。

 

(注)1.システムインテグレーター

情報システムの構築や統合を請け負い、企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを行う業者。

2.アウトソーシング

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)と言われ、企業が、主に経理・総務等の事務処理部門の業務を外部の企業等に委託すること。

3.RPA

Robotic Process Automationの略語であり、ルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して、これまで人間のみが対応可能と想定されていた操作等をソフトウェアロボットによって自動化する取り組み。日本国内でも、生産年齢人口の減少や働き方改革による業務効率化のニーズを満たす技術として注目されている。

 

当社の特長と強みは以下のとおりであります。

①業界特化によるニッチなポジションの確立

ラストワンマイルを事業領域とするには、「多様な汎用サービスの統合」及び「オーダーメイドの開発」が必要となります。各社の汎用サービスの習熟と個社特性が高い開発を効率的に実現することは難しく、大手SIerを含む競業が少ないニッチな領域であります。

特に金融機関では、採用されているシステムが比較的共通していることから、金融業界に特化することでノウハウの横展開が可能となり、当社は、同事業領域でのサービス提供とコスト優位性を実現しております。また、業界の特徴として案件獲得時に受注実績が重要な評価指標となることからも、案件獲得と効率的な案件推進の好循環を生み出しており、他社との差別化要因となっているものと考えております。

また、当社の提供サービスは、SIerから導入したサービスを最大限に活用するための業務プロセス改善であるため、SIerとは案件紹介を受ける等の良好な関係を構築していることも特長であります。

 

②ラストワンマイル領域の事業化による高収益案件の獲得

当社が属するシステムインテグレーション業界では、元請けから下請けに作業を段階的に委託していくピラミッド構造が一般的であります。当社は、汎用サービスを導入した後の開発を個社別に提供していることから、顧客と直接取引を行うプライム案件(注1)が主体となっております。

 

③顧客ニーズに柔軟に応えるための組織体制

当社は、業務分析・問題発見から課題解決・実践まで一貫してサポートする「一気通貫体制」及びコンサルタントが直接顧客とコミュニケーションをとる「製販一体体制」を構築しております。

当社は、業務コンサルティング・システム設計・開発・運用保守までを一気通貫で提供しております。特に金融機関の業務は高度かつ複雑化しており、システム開発前に業務コンサルティング、システムアドバイザリーを行ったうえで、設計、開発、運用保守サイクルを総合的に提案しております。

一般的に、コンサルティングを主な業務分野とするITコンサルティング会社では業務分析・問題発見・業務改善提案を行いますが、具体的に解決策の提供までは行いません。また、受託型SIerは対象とする業務範囲を限定した業務改善提案と解決策の提示を行うため、全体最適された提案に至らない場合があります。

 

当社は、一気通貫体制によって業務プロセス全体を俯瞰して課題解決を行うことが出来、顧客満足度の高いサービスの提案が可能であると考えております。

製販一体体制とは、コンサルタントがチームで専属担当となり、案件獲得からサービス提供までを行う体制です。営業人員を確保する必要がないため、コストを意識した営業展開が可能となると同時に、現場の声を丁寧に拾い上げたサービスの提供が可能となっております。また、案件獲得においても、顧客企業のビジネス部門への理解と金融機関特有のシステムサービスに関する知見の双方が必要であるため、本体制が効果的に機能しているものと考えております。

 


 

④MD制(注2)

当社は、顧客企業からの受託開発及び運用保守等のサービス提供を担当する各部署を疑似的な企業とみなし、部長であるMD(Managing Director)に権限の委譲と成果の適正な配分を行っております。部署での収益は諸コストを除き部署内で配分されるため、案件の成功と従業員のインセンティブを紐付けることで、案件獲得力を強化しております。また、自部署の部下がMDとなり、新部署を設立すると、独立元のMDにはのれん分けとして新部署の収益の一部が継続的に付与される仕組みとなり、人材育成にも効果を発揮しております。

各部署の「経営」をMDに任せることで、リーダーシップや起業家精神の養成とモチベーションの向上を図っております。

 


 

(注) 1.プライム案件

エンドユーザーである顧客との直接取引及び顧客グループのシステム開発会社との取引を指す。

2.MD制

組織を各部署に分け、それぞれをひとつの会社のように位置付けて部署別収益管理制度をベースに運営することで部署の収益に個人の賞与を連動させる制度。なお、当社の賞与は、業績等に連動するインセンティブ賞与と業績等に連動しない基本賞与の2段構造となっており、インセンティブとは、年2回(夏、冬)の賞与のうち、部署及び個人の成果に連動したインセンティブ賞与を指す。

 

 

(事業系統図)


 

(注) 1.ビジネスパートナー等

技術者派遣の要請や再委託先の企業等。

2.取引先SIer等

顧客企業が導入する汎用サービスの提供事業者等。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

2019年7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

152

〔61〕

35.6

4.8

6,597

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

IT戦略コンサルティング本部

109〔30〕

ビジネストランスフォーメーション本部

35〔30〕

全社(共通)

8 〔1〕

合計

152〔61〕

 

(注) 1.当社は、ビジネステクノロジーソリューション事業の単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

2.従業員数は、当社から他社への出向者を除いた人数であります。

3.従業員数欄の〔外書き〕は、臨時従業員の最近1年間の平均雇用人員であります。

4.臨時従業員には、契約社員及びパートタイマーを含み、派遣社員を除いております。

5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6.全社(共通)は、管理部門の従業員であります。

 

(2)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。