第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第1期

第2期

第3期

決算年月

平成28年2月

平成29年2月

平成30年2月

売上高

(千円)

119,653

317,871

755,023

経常利益又は
経常損失(△)

(千円)

3,039

7,548

69,320

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

1,880

6,682

42,255

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

500

25,500

25,500

発行済株式総数

(株)

10

1,100

1,100

純資産額

(千円)

2,380

45,697

76,953

総資産額

(千円)

29,303

172,623

370,603

1株当たり純資産額

(円)

238,030.00

20.77

35.69

1株当たり配当額
(1株当たり中間
配当額)

(円)

1株当たり当期純利益
金額又は1株当たり
当期純損失金額(△)

(円)

188,030.00

3.34

19.46

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益
金額

(円)

自己資本比率

(%)

8.12

26.47

20.76

自己資本利益率

(%)

130.56

68.90

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

22,316

178,156

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

13,354

20,343

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

111,884

10,731

現金及び現金同等物の
期末残高

(千円)

126,858

273,940

従業員数

(人)

4

14

32

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.消費税等の会計処理については、第3期より課税事業者になったことを契機に税抜方式を採用したため、第3期の売上高には消費税等は含まれておりません。第1期及び第2期については、税込方式を採用しているため、売上高には消費税等が含まれております。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

 

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第1期については潜在株式が存在しないため、第2期については潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失金額であるため、第3期については潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

6.第2期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

7.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

8.第1期は、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

9.従業員数は就業人員であります。なお、臨時従業員数はその総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

10.第2期については、積極的な広告宣伝及び外注等を含めた新規顧客開拓に対して投資を行っていたため、経常損失及び当期純損失を計上しております。

11.当社は平成27年3月5日設立のため、第1期は平成27年3月5日から平成28年2月29日となっております。

12.第2期及び第3期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。なお、第1期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき算出した各数値を記載しておりますが、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

13.当社は、平成28年9月16日付で普通株式1株につき100株、平成30年11月3日付で普通株式1株につき2,000株の株式分割を行っておりますが、第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額を算定しております。

14.当社は、平成28年9月16日付で普通株式1株につき普通株式100株、平成30年11月3日付で普通株式1株につき普通株式2,000株の割合で株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第1期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第1期

第2期

第3期

決算年月

平成28年2月

平成29年2月

平成30年2月

1株当たり純資産額

(円)

1.19

20.77

35.69

1株当たり当期純利益
金額又は1株当たり
当期純損失金額(△)

(円)

0.94

△3.34

19.46

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益
金額

(円)

1株当たり配当額
(うち1株当たり中間
配当額)

(円)

 

 

 

2 【沿革】

当社は「識学を広める事で人々の持つ可能性を最大化する」という企業理念を掲げ、「意識構造に着目した独自の理論である『識学』(注1)をより多くの人に知り、活用頂くこと」を目的に、平成27年3月に「株式会社識学」を東京都渋谷区渋谷二丁目に設立いたしました。当社設立以降、現在までの沿革は次のとおりであります。

 

年月

概要

平成27年3月

東京都渋谷区渋谷二丁目に株式会社識学を設立(資本金500千円)

マスタートレーニング2nd、3rd、集合研修(マネジメントコンサルティングサービス)を企業向けに提供開始

平成28年2月

東京都渋谷区東一丁目に本社を移転

平成28年10月

大阪府大阪市中央区に大阪支店を開設

平成29年2月

第三者割当増資により資本金が25,500千円に増加

平成29年3月

評価制度構築(マネジメントコンサルティングサービス)を提供開始

平成29年5月

マネジメントコンサルティングサービスをプロスポーツチーム等のスポーツ分野向けに提供開始

平成29年7月

識学クラウド組織診断(プラットフォームサービス)を提供開始

平成29年8月

東京都品川区西五反田に本社を移転

平成29年9月

福岡県福岡市博多区に福岡支店を開設

平成30年2月

識学クラウド動画復習(プラットフォームサービス)を提供開始

平成30年3月

識学クラウド評価制度運用支援(プラットフォームサービス)を提供開始
識学クラウド(プラットフォームサービス)有料契約の開始

平成30年5月

識学クラウド日常業務支援(プラットフォームサービス)を提供開始

平成30年6月

福岡県福岡市中央区に福岡支店を移転

平成30年8月

識学クラウドの組織診断機能を活用した事業承継やM&A領域向けサービス 組織デューデリジェンスサービス(プラットフォームサービス)を提供開始

 

 

(注1) 識学

識学とは、ヒトの意識構造を分析し、行動を阻害する誤解や錯覚の発生原因を研究した、当社独自開発の理論をいいます。詳細については「第1企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。

 

 

3 【事業の内容】

   はじめに 

 識学とは、ヒトの意識構造を分析し、行動を阻害する誤解や錯覚の発生原因を研究した、当社が独自開発した理論です。ヒトの思考の癖から生じる誤解や錯覚が個人の行動の質及び量を低下させ、さらに、個人の集合である組織内で誤解や錯覚が複雑に絡まった結果、組織のパフォーマンスを阻害します。識学はこの誤解や錯覚の発生要因と解決策を体系化しており、組織運営に活用することで組織の生産性を高めます。

               (組織パフォーマンスを低下させる誤解・錯覚)

 


 

 ヒトの意識は、大きく5つの領域(位置、結果、変化、恐怖、目標)に分けることができると識学では考えています。そして、ヒトはその5領域を認識した後、行動を起こします。いずれかの領域で、間違った認識が発生すると行動の質及び量にズレが発生します。

 充実した環境を構築することも、個々人の能力向上を行うことも、それぞれの5領域を正しく認識する前提がなければ、十分な効果は発揮できず、状況によっては生産性を阻害することにもなりかねません。

 

(ヒトの意識に関する5つの領域)

 


 

 

 (ビジネスにおける5つの領域事例)

 


 

 

(識学メソッドと一般的な研修の対比) 


 

事業の特徴

当社は、識学の原理に基づき、抽象度の高い知見から日々の組織運営に適用可能な形に開発したサービスを展開し、さまざまな組織の生産性の向上に寄与すると考えております。当社の事業は以下の特徴を有しております。

 

(1) さまざまな組織に適用可能であると考えられる識学の汎用性の高さ

識学はヒトが行動する際の意識構造を研究している理論であるため、汎用性が高く、さまざまな組織に適用可能であると考えております。そのため、顧客獲得にあたり、さまざまな組織規模・多業種の企業への適用がサービスの大幅な改変なく可能であると考えております。これまでの実績では、顧客は成長企業を中心に、プロスポーツチームや大学の部活等のスポーツ分野、歯科医院・整骨院などの小規模事業者から大企業におよびますが、内容の大幅な調整・変更を必要とせず展開を行っております。

 

(2) 顧客ニーズを深耕するサービス展開によるリピート獲得

当社サービスはそれぞれ独立して導入可能な単発のサービスながら、組織の生産性向上をさらに加速するため経営者へのマンツーマントレーニングを入り口として、組織幹部、管理者層、新入社員と、複数回のサービス提供を必要とする顧客が多く、リピート獲得に繋がっております。人事異動のタイミングで定期的なサービス提供を行うケースもあります。また、評価制度構築サービスによる識学の定着・仕組化やウェブによるプラットフォームサービスによる顧客接点の増加で、中長期的な取引関係構築・収益貢献を実現しております。

 

(3) 識学に基づく自社の効率的な経営及び講師育成

当社は、当社自身も識学に基づく経営を実践し、日々生産性を高める事業運営を行っております。採用された講師候補者が講師認定され、一定の品質のサービス提供ができるまでにかかる期間は平均3か月程度の実績であり、当社の特徴である高い利益率(第3期売上高経常利益率9.18%。中小企業の平成28年度売上高経常利益率3.50%(中小企業庁調べ))の源泉となっております。また、結果にフォーカスする評価体系を構築し、従業員へ成長の場を提供することで、講師の離脱防止を行っております。具体的には、組織メンバーの責任と権限の範囲を明確にし、権限の範囲内で自らの創意工夫により施策を実行することができ、自己決定感、成長感、達成感等の内発的動機(注1)が自己発生する体制を構築しております。さらに、その結果を報酬に反映させることで、内発的動機と外発的動機(注2)が一致する制度を運用しております。

 (注1) 内発的動機とは、好奇心や関心によってもたらされる動機を指します。

 (注2) 外発的動機とは、義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機を指します。

 

 

(4) 自社でサービス開発を実施

ヒトの意識構造まで掘り下げているため識学それ自体は抽象度が高く、基礎理論だけでは日常の組織運営に適用することは困難です。当社は自社で識学を日常組織運営に適用可能とするプログラムを開発することで組織の生産性を改善するサービスを提供しております。

 

(5) 識学の独自性と一貫したロジックによる集客下地の醸成

識学は自社開発の独自の理論であり、従来の個人のやる気を重視する手法とは逆のアプローチ手法です。このため、当社の広告や口コミは潜在顧客に強いインプレッションを与えています。また、識学は抽象度、汎用性が高いため、多くの人が漠然とではあっても、自己に適用した場合のイメージを描きやすいという特徴があります。ウェブ広告、顧客からの紹介及び代理店紹介のすべての販売チャネルで、識学の独自性、事例紹介の提示によって潜在顧客への印象づけを重ねていくことで、集客の下地を醸成しております。

 

当社ではこのような事業の特徴を活かし、マネジメントコンサルティングサービス及びプラットフォームサービスを提供しており、これらのサービスの関係性を図で示すと以下のとおりです。なお、当社は組織コンサルティング事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、主要なサービス内容について記載しております。

 


 

(1) マネジメントコンサルティングサービス

マネジメントコンサルティングサービスとは、マンツーマントレーニングであるマスタートレーニングを始めとした識学に基づく組織運営を導入・浸透させ、組織の生産性を上げるサービスであります。主なマネジメントコンサルティングサービスは以下のとおりであります。

 

① マスタートレーニング3rd

組織長(経営者)に対して識学を導入し、生産性の高い組織運営を実現するサービスです。マスタートレーニング3rdでは、当社の講師が3か月間(全12回)、1回1時間程度のマンツーマントレーニングを行い、トレーニングの期間中、知識習得及び課題を設定し行動変化を追跡します。当社のマスタートレーニングでは、当社が独自開発した識学のフレームワークを用いて、課題の実践や行動を通じてポイントを習得していきます。組織の生産性を高めるために、ヒトの意識構造を理解し、実際に組織経営を変化させるまで順を追ったカリキュラムになります。

 

② マスタートレーニング2nd

組織長以下の幹部層に対して識学を導入し、生産性の高い組織運営を実現するサービスです。マスタートレーニング2ndでは、当社の講師が2.5か月間(全10回)、1回1時間程度のマンツーマントレーニングを行い、トレーニングの期間中、知識習得及び課題を設定し行動変化を追跡します。

 

③ マスタートレーニング継続(アドバンス)

マスタートレーニング修了後の受講者に対して提供するサービスです。マスタートレーニング継続では、当社の講師が毎月1回1~2時間程度のマンツーマントレーニングを行い、時間の経過により行動が元に戻ってしまうことを防ぎ、識学実践の質を維持します。

 

④ 集合研修

管理職、新入社員等への階層別集合型研修により、識学を組織に浸透し、生産性の高い組織運営を実現するサービスです。集合研修では、講義及びワーク形式での研修を行います。

 

⑤ 浸透パック

管理職向け動画と集合型トレーニング(全6回)を組み合わせ、識学の理解を促すことで、組織に浸透および定着化を図り、継続的に生産性の高い組織運営を実現するサービスです。

 

⑥ 評価制度構築

評価制度を構築し、識学を組織に定着・仕組化するサービスです。評価制度構築では、評価の対象を結果にフォーカスし、評価制度で起こりがちな上司と部下との評価の認識違いを無くし、自走する組織への変化を実現します。

 

⑦ 顧問サービス

マスタートレーニング受講者かつ経営者向けに組織運営に関する課題や相談をお受けし、個別事象を解消するサービスです。個別事象にフォーカスするため、特定の組織課題の解消を行うことに有効なサービスです。

 

 

(2) プラットフォームサービス

プラットフォームサービスとは、ウェブ上で顧客の識学実践を支援するクラウドサービスであります。主なプラットフォームサービスは以下のとおりであります。

 

① 識学クラウド組織診断(組織デューデリジェンスサービス)

組織の状態を診断するサービスであり、識学導入後は、自組織の改善状況の確認を行うことが可能になります。識学クラウド組織診断では、顧客の組織メンバーに対してウェブ上でアンケートを実施します。そのアンケート結果で、組織の一員として生産性高く業務に取り組める状態にあるか、また生産性が阻害されているとすれば、どの意識構造が誘引しているのかを判断し、その総合結果を用いて対象組織の現在の状態を把握します。

 

② 識学クラウド動画復習

時間の経過により行動が元に戻ってしまうことを防ぎ、識学実践の質を維持するサービスであります。識学クラウド動画復習では、マスタートレーニングでお伝えする理論をウェブ上の動画で復習することができます。理論の理解度を維持すると同時に、自組織に照らし合わせながら、動画閲覧することでさらなる理解を促進します。

 

 

③ 識学クラウド評価制度運用支援

主に、評価制度構築サービスの後、制度の実践運用を支援するサービスであります。個人に割り振る目標項目及びその比率や目標の基準点となる尺度を決定し、ウェブ上に登録しておく形式で、構築された評価制度を日常的に実践し、担当者まで漏れなく、遅滞なく、少ない事務負担で実践まで浸透させるクラウドサービスとなっております。

 

④ 識学クラウド日常業務支援

日常のマネジメントの補助ツール(タスク管理)サービスであります。同時並行で多種多様なタスク管理を行うと、多くの工数を要します。さらに、管理をマンパワーに依存すると、結果的に、抜け漏れが発生し、マネジメントが行き届いていない状況となる可能性があります。識学クラウド日常業務支援機能では、ウェブ上でのタスク管理機能を用いて、上司と部下が共通の認識を持っている状態を当たり前化し、その工数を削減するとともに、抜け漏れのないマネジメントの実現が可能です。

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 

[事業系統図]

 


 

(注)パートナーとは、当社とパートナー契約を締結した企業の役職員が識学の講師となり、識学サービスを提供する企業のことを指します。

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

平成30年11月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

40

 37.8

 1.3

 7,352

 

(注) 1.従業員数は就業人員であります。

2.臨時従業員数は、その総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.当社は組織コンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

5.最近日までの1年間において従業員数が18名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2) 労働組合の状況

当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。