(はじめに)
当社の実質上の事業活動は、インターネット黎明期である1997年11月に、丸紅株式会社が総合的な情報通信サービスを展開すべく東京都千代田区大手町にグローバルアクセス株式会社を設立したことに始まります。
グローバルアクセス株式会社は、2010年12月に、法人向けデータ通信サービスを一気通貫で提供できる体制を整えるために株式会社ヴェクタントを吸収合併し、商号を丸紅アクセスソリューションズ株式会社に変更致しました。更に、2014年2月には、ICT関連ビジネスの更なる拡大・推進のために株式会社UCOMを吸収合併し、商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更し、以後、総合的な情報通信サービスの展開により、豊かな社会の発展に寄与してまいりました。また、同月には、丸紅株式会社の子会社であるMASホールディングス株式会社がアルテリア・ネットワークス株式会社に出資し、同年11月には、CVC Asia Pacific Limitedが投資助言を行うファンドが出資をしている法人であるRed Anchor Investments Limitedがアルテリア・ネットワークス株式会社に出資を行いました。
当社(形式上の存続会社、旧社名:アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社)は、2016年3月にアルテリア・ネットワークス株式会社を完全子会社化し、2016年7月1日を合併期日として、アルテリア・ネットワークス株式会社を吸収合併し、商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更致しました。
合併前の当社(旧社名:アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社)は、当該合併のために設立された特別目的会社として、当該合併によりアルテリア・ネットワークス株式会社の資産、負債及び権利義務の一切を承継し、合併後におきまして実質上の存続会社であるアルテリア・ネットワークス株式会社の事業を全面的に承継しております。
このため、本書では、特別に記載のない限り、実質上の存続会社である旧アルテリア・ネットワークス株式会社について記載しております。
当社の事業運営主体の変遷を図示致しますと、次のようになります。
[当社の変遷]
回次 |
国際会計基準 |
||
第2期 |
第3期 |
||
決算年月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
|
売上高 |
(百万円) |
|
|
営業利益 |
(百万円) |
|
|
税引前利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する当期包括利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する持分 |
(百万円) |
|
|
総資産額 |
(百万円) |
|
|
1株当たり親会社所有者帰属持分 |
(円) |
|
|
基本的1株当たり当期利益 |
(円) |
|
|
希薄化後1株当たり当期利益 |
(円) |
|
|
親会社所有者帰属持分比率 |
(%) |
|
|
親会社所有者帰属持分当期利益率 |
(%) |
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
|
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
|
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
(注1)上記指標は、国際会計基準(IFRS)に基づいて作成した連結財務諸表に基づいております。
(注2)売上高には、消費税等は含まれておりません。
(注3)希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式がないため、記載しておりません。
(注4)株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
(注5)当社は、2018年8月30日開催の取締役会決議により、2018年9月28日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しております。1株当たり親会社所有者帰属持分及び基本的1株当たり当期利益については、第2期期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
(注6)前連結会計年度(第2期)及び当連結会計年度(第3期)の国際会計基準(IFRS)に基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
(注7)従業員数は就業人員であり、当社グループからグループ外への出向者、グループ外から当社グループへの出向者は含まれておりません。前連結会計年度(第2期)及び当連結会計年度(第3期)における臨時雇用者数は、従業員の総数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
|
決算年月 |
2016年3月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
|
売上高 |
(百万円) |
|
|
|
経常利益又は経常損失(△) |
(百万円) |
△ |
|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(百万円) |
△ |
|
|
資本金 |
(百万円) |
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
純資産額 |
(百万円) |
|
|
|
総資産額 |
(百万円) |
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は当期純損失(△) |
(円) |
△ |
|
|
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
配当性向 |
(%) |
|
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
|
(注1)売上高には、消費税等は含まれておりません。
(注2)当社は、2018年8月30日開催の取締役会決議により、2018年9月28日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しております。1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益については、第2期期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
(注3)1株当たり配当額及び配当性向については、無配のため、記載しておりません。
(注4)潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため、記載しておりません。
(注5)第1期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。
(注6)株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
(注7)当社は2016年2月12日に設立されたため、第1期は2016年2月12日から2016年3月31日までの1カ月と18日となっております。
(注8)前事業年度(第2期)及び当事業年度(第3期)の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。なお、第1期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
(注9)従業員数は就業人員であり、当社から社外への出向者、社外から当社への出向者は含まれておりません。臨時雇用者数は従業員の総数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(注10)当社は、2018年8月30日開催の取締役会決議により、2018年9月28日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第1期の数値(1株当たり配当額についてはすべての期の数値)については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
|
決算年月 |
2016年3月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
191.55 |
126.10 |
187.57 |
1株当たり当期純利益 |
(円) |
△22.64 |
66.67 |
61.48 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(参考情報)
(はじめに)に記載のとおり、2014年2月に丸紅アクセスソリューションズ株式会社が株式会社UCOMを吸収合併し、アルテリア・ネットワークス株式会社(旧アルテリア・ネットワークス)に商号変更しております。
当社(形式上の存続会社、旧社名:アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社)は、2016年3月にアルテリア・ネットワークス株式会社を完全子会社化し、その後、2016年7月1日を合併期日として、アルテリア・ネットワークス株式会社を吸収合併し、アルテリア・ネットワークス株式会社(現アルテリア・ネットワークス)に商号変更して現在の当社に至っております。
参考として、日本基準に基づいて作成された2015年3月期から2016年3月期に係る旧アルテリア・ネットワークスに係る主要な連結経営指標等の推移は以下のとおりであります。
回次 |
日本基準 |
||
第19期 |
第20期 |
||
決算年月 |
2015年3月 |
2016年3月 |
|
売上高 |
(百万円) |
44,226 |
44,574 |
経常利益 |
(百万円) |
5,759 |
5,957 |
親会社の所有者に帰属する当期純利益 |
(百万円) |
4,640 |
4,519 |
純資産額 |
(百万円) |
18,651 |
23,170 |
総資産額 |
(百万円) |
70,871 |
62,526 |
1株当たり純資産額 |
(円) |
117,259.23 |
145,671.16 |
1株当たり当期純利益 |
(円) |
15,503.28 |
28,412.42 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
自己資本比率 |
(%) |
26.3 |
37.1 |
自己資本利益率 |
(%) |
28.1 |
21.6 |
株価収益率 |
(倍) |
- |
- |
従業員数 |
(人) |
661 |
571 |
(注1)売上高には、消費税等は含まれておりません。
(注2)各数値については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
(注3)潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため、記載しておりません。
(注4)株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
(注5)2014年3月期については連結財務諸表を作成していないため記載しておりません。
(はじめに)に記載のとおり、当社の実質上の事業活動は、インターネット黎明期である1997年11月に、丸紅株式会社が総合的な情報通信サービスを展開すべく東京都千代田区大手町にグローバルアクセス株式会社を設立したことに始まります。
グローバルアクセス株式会社は、2010年12月に、法人向けデータ通信サービスを一気通貫で提供できる体制を整えるために株式会社ヴェクタントを吸収合併し、商号を丸紅アクセスソリューションズ株式会社に変更致しました。更に、2014年2月には、ICT関連ビジネスの更なる拡大・推進のために株式会社UCOMを吸収合併し、商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更し、以後、総合的な情報通信サービスの展開により、豊かな社会の発展に寄与してまいりました。
形式上の存続会社である当社は、アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社として2016年2月12日に設立され、2016年3月14日にアルテリア・ネットワークス株式会社を完全子会社化致しました。その後、2016年7月1日を合併期日として、当社を存続会社、アルテリア・ネットワークス株式会社を消滅会社とする合併を行い、同日付で当社の商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更し、現在に至っております。
従いまして、以下においては、当社及び当社の事業を2016年7月以前に行っておりました旧アルテリア・ネットワークス株式会社、丸紅アクセスソリューションズ株式会社、グローバルアクセス株式会社の沿革について記載しております。
年月 |
沿革 |
1997年11月 |
グローバルアクセス株式会社設立 |
1998年4月 |
第一種電気通信事業許可取得 |
2000年1月 |
国内専用サービス提供開始(注1) |
2000年3月 |
東京都中央区にデータセンター「ComSpaceⅠ」開設(注1) |
2001年6月 |
イーサネット専用線サービス「ダイナイーサ」提供開始(注1) |
2001年12月 |
東京都新宿区にデータセンター「ComSpaceⅡ」開設(注1) |
2003年3月 |
10Gbpsイーサネット専用線サービス提供開始(注1) |
2006年3月 |
情報セキュリティマネジメントシステム「BS7799-2:2002」及び「ISMS認証基準Ver2.0」認証取得 |
2007年4月 |
「ISO27001:2005/JIS Q 27001:2006」認証取得 |
2010年8月 |
データセンター「ComSpaceⅢ」を開設(注1) |
2010年12月 |
株式会社ヴェクタントを吸収合併し、商号を丸紅アクセスソリューションズ株式会社に変更 |
2011年5月 |
IPv6対応サービス提供開始(注2) |
2011年6月 |
大阪市にデータセンター「ComSpace WEST」を開設(注1) |
2013年5月 |
完全冗長・完全閉域型の接続サービス「VECTANT セキュアクラウドアクセス」提供開始(注1) |
2014年2月 |
株式会社UCOMを吸収合併し、商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更 |
|
長距離区間として国内初、デュアルクラスに対応したイーサネット専用線サービス「ダイナイーサ」100Gbpsメニュー提供開始(注1) |
2015年2月 |
「AWS」「Microsoft Azure」「SoftLayer」対応の閉域クラウドアクセスサービスを提供(注1) |
2016年2月 |
アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社設立 |
|
個人向け任意加入型インターネット接続サービス(spaaqs光・Qit光・jasper-net)を事業譲渡(注2) |
2016年3月 |
アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社がアルテリア・ネットワークス株式会社の全株式を取得し、同社を完全子会社とする |
2016年7月 |
アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社を存続会社、アルテリア・ネットワークス株式会社を消滅会社とする吸収合併を実施し、アルテリア・ネットワークス・ホールディングス株式会社の商号をアルテリア・ネットワークス株式会社に変更 |
2016年11月 |
DDoS攻撃(注3)からネットワークシステムを守る「DDoS対策サービス」の提供を開始(注1) |
2017年3月 |
株式会社つなぐネットコミュニケーションズを連結子会社化 |
2017年4月 |
賃貸集合住宅向けに全戸一括型インターネット接続サービス「UCOM光 レジデンス シンプルタイプ」をサービス化(注4) |
2017年11月 |
アルテリア・ネットワークス株式会社のマンション向けインターネットサービス事業を会社分割により株式会社つなぐネットコミュニケーションズに統合 |
(注1)ネットワークサービスに含まれるサービスです。
(注2)インターネットサービスに含まれるサービスです。
(注3)インターネット上に存在するセキュリティ対策不足の通信機器を踏み台にし、通信の特性を悪用して、大量の通信を対象のサーバーに送信してダウンさせる攻撃です。
(注4)マンションインターネットサービスに含まれるサービスです。
(1)事業の概要
当社グループは、当社及び連結子会社3社で構成され、電気通信事業法に基づく電気通信事業を行っております。
当社グループは「創業以来のフロンティア精神を研ぎ澄まし、変化し続ける顧客ビジネスの課題解決に取り組む」、「独自のネットワークアセットと顧客志向性で差別化し、野心的で柔軟に発想、迅速で緻密に行動する」、「情報通信プラットフォームの創造を通じ顧客の成長と世の中の進歩に貢献し、社員ひとりひとりの夢を実現する」という経営理念の下、企業価値の向上を目指して、最新の光接続技術によって構築された、安全性が高く高品質な光ファイバーを日本国内に自社で敷設しサービスを提供しております。当社の光ファイバーネットワークは、日本国内の広範囲をカバーしながらも、通信回線を利用するデータ量が多く収益性の高い都市部を中心に集中的に投資して敷設しており、効率的なサービス展開を図っております。(図1)
図1:当社の光ファイバーネットワーク
(注1)88%のGDPカバー率は、当社が(2018年2月1日現在)アクセスポイント/陸揚局を有する32の都道府県のGDP(国内総生産)が日本全体のGDPに占める比率(2014年時点)を示すに留まり、同GDPが当社ネットワークに実際に又は潜在的にアクセス可能であることによって創出されたことを示すものではありません。
(注2)海底ケーブルとは、海底に埋没されたケーブルのことを指します。インターネットを通じた日本と海外とのデータのやり取りなど、国際通信の大部分は海底ケーブルが占めます。
(注3)海底ケーブルの終端を陸上に設置している局舎のことを指します。
(2)サービス別の主な内容
当社グループは主としてインターネットサービス(光インターネット接続サービス、IP電話サービス等)、ネットワークサービス(専用線サービス、VPN接続サービス等)、マンションインターネットサービス(全戸一括型光インターネット接続サービス)を提供しております。なお、当社グループは単一事業を営んでおり事業分類が困難なため、セグメントを分類せずに記載しております。当社グループのサービス別の主な内容は以下のとおりです。
(ア)インターネットサービス
① 光インターネット接続サービス
光インターネット接続サービスとは、アクセス回線に光ファイバーを利用し高速なデータ伝送を提供するサービスです。主なサービスには、パートナー企業を通じて中小企業向けに提供している「UCOM光 エンタープライズ」や「ARTERIA光インターネット接続サービス」及びOEMでISP(Internet Service Provider)等に向けて提供しているサービスがあります。
当社の企業向けサービスの特徴として、お客様1社につき光ファイバー1本を提供している点があります。これにより他のユーザーの影響を受けにくく通信が安定し、お客様に快適な通信環境を提供することが可能となります。また当社の光インターネット接続サービスは、ISPとアクセス網を一括管理していることで、安定した通信を実現します。
図2:当社の光インターネットサービスの特徴
|
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(注)OLT(Optical Line Terminal):各加入者へ送信する光信号を合成して光回線に送出したり、光回線から受け取った信号を各加入者ごとの信号に分離したりするための終端装置をいいます。
② IP電話サービス
IP電話とは、固定電話の回線(アナログ電話回線の低周波帯域)の代わりに、インターネットのブロードバンド回線を利用した電話で、従来の固定電話よりも通話料金が安い、距離による通話料金の差がないなどのメリットがあります。
当社の法人向けIP電話サービス「光電話ビジネス」は、広帯域・高品質な回線サービスと組み合わせて利用できるIP電話サービスとなります。総務省クラスA基準(注)を満たした通話品質と低コストな基本料、通話料を実現しています。
(注)IP電話の品質クラス分類には、クラスA、クラスB及びクラスCがあり、このうち、クラスAは固定電話並みの伝送品質率、遅延性、呼損率(持続品質)を満たしているものをいいます。
(イ)ネットワークサービス
① 専用線サービス
専用線サービスは、ある特定の2地点間を結ぶ回線サービスです。信頼性・品質・セキュリティが高く、企業の基幹ネットワークやデータセンター、通信事業者などのバックボーン、アクセス回線として利用されております。
当社は高スペックかつ、東京都内、東名阪福岡間に強みを持つ「ダイナイーサ」などのサービスをお客様に提供しています。
② VPN接続サービス
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネットに接続されている利用者の間に、仮想的な通信トンネルを構成したプライベートなネットワークのことです。通信経路を認証や暗号化を用いて保護することにより、第三者が侵入することのできない安全なネットワークを構築できます。1対1通信となる専用線サービスと異なり、複数の拠点間ネットワーク構築に適したサービスのため、主に多店舗展開をしている小売・流通・サービス業で通信インフラとして利用されます。
当社は、VPN接続サービスを設計から運用保守までワンストップで提供しております。当社のVPN接続サービスは、「ARTERIA光」・「UCOM光」の自社回線に加え、NTTフレッツ、KDDI、ソフトバンクなど様々なアクセス回線を組み合わせたご提案が可能です。
③ その他ネットワークサービス
その他ネットワークサービスとして、当社はデータセンターサービスやクラウドWi-Fiサービスを提供しています。
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器などのIT機器を設置、運用する施設・建物の総称です。当社は「ComSpace」のサービス名で至便なアクセスの立地で柔軟なサービス体系のデータセンターサービスを提供しています。
クラウドWi-Fiサービスとは、顧客の無線LAN環境の構築から、運用・保守までを一括提供するサービスです。クラウド上に無線LANコントローラー(クラウドコントローラー)を設置するため、拠点ごとに導入・設置をする必要がなく、初期設定済のアクセスポイントを繋ぐだけで簡単に利用を開始できるため、複数拠点にまたがるアクセスポイント(AP)の一元管理が可能です。
(ウ)マンションインターネットサービス
マンションインターネットサービスとは、当社グループがマンション向けに提供している光インターネット接続サービスを指します。
個人向けインターネット接続サービスは、各世帯の利用者がサービス提供者を選び直接契約を結ぶ方式(任意加入型)と、集合住宅全戸が一括でサービス提供者と契約を結ぶ方式(全戸一括型)に区分されます。当社グループは後者の方式で高品質な光インターネット接続サービス「UCOM光 レジデンス」及び「e-mansion」を分譲マンション・賃貸住宅市場向けに展開しており、大手デベロッパー物件への高い採用実績があります。また、当社グループは、光回線を複数の建物で共有する共有型接続サービスではなく、アクセス回線を他の建物と共有せず光回線収容局から建物まで一本の光ファイバーを用いる専有型接続サービスを展開しており、通信速度の低下が生じにくい環境を提供しています。また2017年3月に同業である株式会社つなぐネットコミュニケーションズを連結子会社化し、顧客基盤含めて当該サービスの強化を図っております。なお、当社グループは当該サービス市場において全国シェア1位(全体の27.2%)となっております(株式会社MM総研(以下「MM総研」という。)調べ、2018年3月末時点)。
(エ)その他サービス
① エネルギーサービス
当社グループはエネルギー分野のサービスとして、地域電力会社などから高圧電力を一括購入しマンション内の変電設備で低圧に変換して供給する電力一括受電サービスを提供しております。これは電力のまとめ買いにより、ご家庭の電気料金を削減するサービスです。
② MDMサービス
MDM(Mobile Device Management)サービスとは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を一元管理するためのサービスです。当社が提供する「VECTANT SDM」は、ライトユースからヘビーユースまでに対応する、オールインワンのMDMサービスです。
また、マンション公式ポータルサイトやマンションIoTサービス、更にはセキュリティカメラシステムなど、マンション生活をより便利で豊かにするマンション向けの施設サービスも提供しています。
なお、当社グループは、各サービスのお客様確保及び事業拡大を図るに当たって、当社グループが直接営業活動する以外に、複数の販売パートナーと代理店契約を締結し、販売促進に向けた協業を行っております。販売パートナーには、当社グループがサービスを卸し、販売パートナー独自のブランドでエンドユーザー企業にサービス提供する再販パートナー及びエンドユーザー企業に当社グループのサービスを紹介する取次パートナーが存在しております。エンドユーザー企業との契約は、再販の場合はパートナーが、取次の場合は当社グループが直接契約をする形態となります。また、当社グループはサービスを提供するに当たって、子会社であるアルテリア・エンジニアリング株式会社からの工事サービス及びアルテリア・インターコネクト株式会社からの回線サービス提供を受けております。
[事業系統図]
2018年3月31日現在
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(その他の関係会社) |
|
|
|
被所有 |
|
丸紅株式会社(注1) |
東京都中央区 |
262,686 |
総合商社 |
50.0 |
役員の兼任、取引関係あり |
(連結子会社) |
|
|
|
所有 |
|
株式会社つなぐネットコミュニケーションズ (注2、3) |
東京都千代田区 |
1,500 |
マンション向けインターネット接続サービス事業 |
80.0 |
役員の兼任、取引関係あり |
アルテリア・エンジニアリング株式会社 |
東京都港区 |
30 |
電気通信工事業 |
100.0 |
役員の兼任、取引関係あり |
アルテリア・インターコネクト株式会社 |
東京都港区 |
9 |
電気通信事業 |
100.0 |
役員の兼任、取引関係あり |
(注1)有価証券報告書を提出しております。なお、2018年3月31日現在においては、丸紅株式会社が100%出資するMASホールディングス株式会社が議決権50.0%を保有しておりましたが、その後2018年7月12日付でMASホールディングス株式会社が保有する株式のすべてにつき同社から丸紅株式会社へ現物配当による株式の移動が行われた結果、本書提出日現在、丸紅株式会社が当社のその他の関係会社となっております。また、丸紅株式会社によれば、当社株式の上場日をもって会計基準上の実質的な支配が存在すると考えられ、当社は丸紅株式会社の連結子会社となる予定とのことです。
(注2)特定子会社であります。
(注3)株式会社つなぐネットコミュニケーションズについては、売上高(連結会社相互間の内部売上を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えています。日本基準に基づいて作成された同社の財務諸表における2018年3月期の主要な情報等は次のとおりであります。
|
主要な損益情報等(百万円) |
||||
売上高 |
経常利益 |
当期純利益 |
純資産額 |
総資産額 |
|
株式会社つなぐネットコミュニケーションズ |
7,905 |
2,129 |
1,462 |
5,523 |
8,951 |
(1)連結会社の状況
2018年9月30日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
電気通信事業 |
711 |
|
合計 |
711 |
(注1)当社グループは単一事業を営んでおり、セグメント別の記載を省略しております。
(注2)従業員数は就業人員であり、当社グループからグループ外への出向者、グループ外から当社グループへの出向者は含まれておりません。臨時雇用者数は、従業員の総数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
2018年9月30日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
510 |
40.5 |
8.0 |
6,459,882 |
(注1)当社は単一事業を営んでおり、セグメント別の記載を省略しております。
(注2)従業員数は就業人員であり、当社から社外への出向者、社外から当社への出向者は含まれておりません。臨時雇用者数は、従業員の総数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(注3)平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
2015年6月6日にアルテリア・ネットワークスユニオンが結成されております。労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。