第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第8期

第9期

第10期

第11期

第12期

決算年月

平成25年9月

平成26年9月

平成27年9月

平成28年9月

平成29年9月

売上高

(千円)

873,243

1,927,506

2,023,267

2,299,987

4,001,262

経常利益又は
経常損失 (△)

(千円)

25,144

28,546

44,872

375,670

159,876

当期純利益又は
当期純損失 (△)

(千円)

22,389

29,643

39,391

364,164

199,018

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

60,000

60,000

360,000

360,000

360,000

発行済株式総数

(株)

2,834

2,834

3,396

3,396

3,396

純資産額

(千円)

40,375

70,520

693,268

329,103

528,121

総資産額

(千円)

393,001

632,889

1,414,351

1,469,130

2,477,343

1株当たり純資産額

(円)

13,830.31

24,290.25

203,647.19

96.41

155.02

1株当たり配当額

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

(1株当たり中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期
純利益金額又は
当期純損失金額 (△)

(円)

7,900.35

10,459.94

13,884.84

107.23

58.60

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

10.0

10.9

48.9

22.3

21.3

自己資本利益率

(%)

80.0

54.9

10.4

46.6

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

240,790

60,160

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

29,373

58,927

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

359,777

185,329

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

949,811

1,136,370

従業員数

(名)

63

116

132

147

138

〔外、平均臨時
雇用者数〕

11

16

18

15

14

 

 

(注) 1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については、記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

4.第11期の経常損失及び当期純損失の計上は、新規タイトルの開発に係る売上原価及び既存タイトルに係る広告宣伝費の計上等によるものであります。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第8期、第9期、第10期及び第12期においては、潜在株式は存在しますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。また、第11期においては、潜在株式は存在しますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また1株当たり当期純損失金額であるため、記載しておりません。

7.第11期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

8.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

9.主要な経営指標等のうち、第8期、第9期及び第10期については、会社計算規則 (平成18年法務省令第13号) の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

10.前事業年度 (第11期) 及び当事業年度 (第12期) の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

11.第8期、第9期及び第10期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

12.平成30年3月27日開催の取締役会決議により、平成30年4月28日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。そのため、第11期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額又は当期純損失金額を記載しております。

13.平成30年3月27日開催の取締役会決議により、平成30年4月28日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人 (現日本取引所自主規制法人) の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号) に基づき、第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第8期、第9期及び第10期の数値については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

 

回次

第8期

第9期

第10期

第11期

第12期

決算年月

平成25年9月

平成26年9月

平成27年9月

平成28年9月

平成29年9月

1株当たり純資産額

(円)

13.83

24.29

203.65

96.41

155.02

1株当たり当期純利益金額又は
当期純損失金額 (△)

(円)

7.90

10.46

13.88

△107.23

58.60

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益金額

(円)

1株当たり配当額

 (うち1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 

当社は、平成18年1月、代表取締役社長樋口智裕が開発した動画検索エンジン「Fooooo」の事業化を目的として設立されました。当社設立以後における経緯は、次のとおりであります。

 

年月

概要

平成18年1月

東京都渋谷区において資本金100千円で、株式会社バンク・オブ・イノベーションを設立。

平成19年3月

動画検索エンジンサービス「Fooooo」をインターネット上に公開。

平成19年4月

資本金3,097千円へ増資。

平成19年5月

東京都中野区に本社移転。

資本金4,097千円へ増資。

平成19年8月

資本金10,000千円へ増資。

平成20年3月

資本金60,000千円へ増資。

平成20年6月

東京都新宿区新宿に本社移転。

平成22年2月

PCソーシャルゲーム事業を開始。

平成22年10月

東京都新宿区大久保に本社移転。

平成24年9月

スマートフォンゲーム事業 (注) を開始。

スマートフォンゲームアプリ「征戦!エクスカリバー」をリリース。

平成25年3月

動画検索エンジンサービス「Fooooo」の事業譲渡に伴い、動画検索事業を終了。

平成25年5月

PCソーシャルゲーム事業を終了。

平成25年9月

スマートフォンゲームアプリ「ポケットナイツ」をリリース。

平成27年2月

スマートフォンゲームアプリ「幻獣契約クリプトラクト」をリリース。

平成27年9月

資本金360,000千円へ増資。

平成27年11月

東京都新宿区新宿に本社移転。

ゲーム以外の新規事業展開を目的として、子会社株式会社ブルーナ (平成28年4月 株式会社ベルーガゲームスへ商号変更) を設立。

平成29年8月

スマートフォンゲームアプリ「ミトラスフィア」をリリース。

平成29年9月

株式会社ベルーガゲームスの清算結了。

平成30年2月

資本金402,716千円へ増資。

 

(注) 当社は、上記以外にも4タイトルのスマートフォンゲームアプリをリリースしておりますが、全て運営を終了しており、上記は本書提出日現在で運営しているタイトルのみを記載しております。

 

 

3 【事業の内容】

 

当社は、「ロマン (世界で一番"思い出"をつくるエンターテイメント企業)」と「企業信念 (良いものは必ず評価される)」の二つを企業理念として掲げており、人々の心に末永く刻まれるようなサービスの創出を目指してスマートフォンゲームアプリの開発・運営に取り組んでおります。

なお、当社はスマートフォンゲーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

(1) スマートフォンゲーム事業について

当社は、Google Inc.及びApple Inc.等が運営するプラットフォームを通じて、ユーザーにゲームアプリを提供しております。多くのユーザーに楽しんでいただけるよう、ゲームのプレイそのものは無料で行うことができますが、その中でより深くゲームを楽しみたいユーザーに向けて有料アイテムの販売を行っております。また、「幻獣契約クリプトラクト」においては、自社IP (Intellectual Property:知的財産) として他社に著作物の利用許諾を行っており、他社から支払われるロイヤルティも当社の売上として計上しております。

当社が提供している主なゲームタイトルは、次のとおりであります。

 

平成30年5月31日現在

タイトル名
(リリース年月)

プラットフォーム

オリジナル/
他社IP

ゲーム概要

ミトラスフィア

(平成29年8月)

App Store

Google Play

オリジナル

多種多様な武具・アバター (注1) に加え、30種以上のボイスによる"なりきり"要素をふんだんに盛り込んだファンタジーRPG (注2) です。

手軽に他のユーザーとのコミュニケーションとリアルタイムの冒険を楽しむことができます。

(累計450万ダウンロード超)

幻獣契約クリプトラクト

(平成27年2月)

App Store

Google Play

AndApp

Yahoo!ゲーム

オリジナル

90年代RPGを彷彿とさせるような王道コマンドバトルと派手なエフェクトによる本格的ファンタジーRPGです。豪華声優陣によるボイスがゲームへの没入感をさらに高めます。

(累計1,000万ダウンロード超)

ポケットナイツ

(平成25年9月)

App Store

Google Play

他社IP

多彩で可愛いアバターの着せ替え、そして仲間達との大冒険を楽しむきせかえアクションRPGです (IP保有会社:株式会社ジークレスト)。

(累計100万ダウンロード超)

征戦!エクスカリバー

(平成24年9月)

App Store

Google Play

オリジナル

全国のプレイヤー達と結成する騎士団で戦うリアルタイム対戦でリーグ制覇を目指す、爽快ギルドバトル (注3) RPGです。

RPGの王道である中世ヨーロッパ風の世界観に着せ替え要素を加え、「新しいモノ」を好むゲーマーに受け入れられることを目指して開発したゲームです。

(累計100万ダウンロード超)

 

(注) 1.「アバター」とは、ゲーム上におけるユーザーの分身となるキャラクターのことをいいます。

2.「RPG (ロールプレイングゲーム)」とは、ユーザーがゲーム内の登場人物となり、与えられる試練 (冒険、難題、探索、戦闘等) を通して目的の達成を目指すゲームのことをいいます。

3.ゲーム内で他のユーザーと組むチームのことを「ギルド」といい、ギルド同士の戦闘を「ギルドバトル」といいます。

 

 

  アプリ別売上高

タイトル名

平成28年9月期

平成29年9月期

平成30年9月期
第2四半期累計期間

売上高
(千円)

割合
(%)

売上高
(千円)

割合
(%)

売上高
(千円)

割合
(%)

ミトラスフィア

623,429

15.6

1,218,199

45.2

幻獣契約クリプトラクト

1,807,978

78.6

3,005,051

75.1

1,349,082

50.0

ポケットナイツ

217,960

9.5

137,752

3.4

46,309

1.7

征戦!エクスカリバー

273,074

11.9

234,737

5.9

83,722

3.1

その他

974

0.0

291

0.0

127

0.0

合計

2,299,987

100.0

4,001,262

100.0

2,697,442

100.0

 

 

当社の事業系統図は次のとおりです。

 


 

(注) 1.ユーザーからの課金アイテム等利用代金から決済手数料及びプラットフォーム手数料 (プラットフォーム運営事業者による代金回収代行業務及び売上管理業務に対する手数料) を差し引いた金額が、プラットフォーム事業者から当社へ支払われます。

2.同業他社に対して自社IPの著作物利用許諾を行っており、自社IP提供先からは毎月売上の一部をロイヤルティとして受け取っております。

3.当社は、複数の広告代理店に対してユーザー獲得を目的とする広告出稿を発注しております。上記の広告代理店には、当社の関連当事者である株式会社CyberZ (株式会社サイバーエージェントの子会社) を含んでおります。

 

(2) 当社の特徴及び強みについて

当社の特徴及び強みは以下のとおりであります。

 

① 開発段階
a.開発体制

当社のゲームアプリは、高品質の2Dグラフィック (漫画やアニメーションのように平面的に描かれた図や絵のことを指します) に特化しております。ゲームアプリ市場において3Dゲームも広がりを見せる中で、自社の強みである2Dグラフィックをより追求し、他社との差別化を明確にすることで、独自の地位を築くことができると考えており、これまでのスマートフォンゲーム事業の運営において、より高品質なデザインを提供してまいりました。

当社は高品質2Dグラフィックを効率的に量産するために、デザイナー人員数の増強、社内教育の整備、多段階チェック (後述c.を参照) の導入によって「デザイン主体の開発体制」を構築しております。当該体制では、デザイナー人員数が従業員の4割以上を占めており、内製化率向上による外注コストの抑制、社内全体及び個人の技能向上、品質の担保及び追求が可能となっております。当社は、当社のようなデザインを重視した開発体制を敷いている同業他社は少なく、構築においても組織の再構築から相当の時間とコストが発生するものと捉えており、同業他社による模倣は容易ではないと考えております。よって、当社は業界において特異性及び優位性を確保できていると考えております。

 

従業員数に対するデザイナーの人数及び割合

 

平成28年9月期

平成29年9月期

平成30年9月期

第2四半期累計期間

人数
(名)

割合
(%)

人数
(名)

割合
(%)

人数
(名)

割合
(%)

デザイナー

61

41.5

59

42.8

57

41.6

その他

86

58.5

79

57.2

80

58.4

合計

147

100.0

138

100.0

137

100.0

 

 

b.オリジナル2Dグラフィックによる効果

当社は本書提出日現在で提供している4本のゲームアプリのうち、「幻獣契約クリプトラクト」と「ミトラスフィア」は上述a.の開発体制の下で開発しております。この2本は従来のタイトルと比較してダウンロード数が増加するなど、運営段階においても大きな効果が表れております。このことから、当社は高品質デザインによってユーザーの興味関心が引き出されているものと考えており、一度実装したデザインも定期的にブラッシュアップを行うなど、日々品質の向上を図っております。

 

c.安定したゲームの開発体制

当社は、グラフィックの制作及びゲームシステムの開発において多段階チェックを導入しております。企画からリリースまでの間において、アートディレクターやプロデューサー主体によるデザインの多段階チェック、またゲームシステムについては経営会議及び必要に応じてリリース前テストを実施可能な外注先企業を交えた品質の多段階チェックを実施しております。段階ごとに多角的な視点から進捗及び品質を確認することによって、高品質のゲームアプリを安定的かつ継続して開発することを目指しております。

 

 


 
② 運営段階
a.ゲームアプリの長期運営

当社は「ゲームに対して積極的なユーザー層 (注)」をメインターゲットとしております。そして、多くのお客様に長く遊んでいただくことを長期安定運営の基盤とし、当社がゲームをより深く楽しんでいただくための施策を投じていくことによって強化されていくものと考えております。当社の運営力の源泉は確立されたPDCAサイクルであり、ユーザー動向のデータ分析、KPI (重要業績評価指標) 変動要因の把握、新機能の立案及び実装後におけるKPI推移の確認や他社分析の実行等によって成り立っております。

 当社は、メインターゲットに受け入れられるように、また懐かしさを感じながら新たな思い出に繋がるような味わいの深いオリジナル2Dグラフィックによって差別化を図るとともに、これまでのPC向けゲームやゲームアプリ開発における成功・失敗のあらゆる面から蓄積したノウハウの活用、そして「お客様と共にゲームをつくっていく」という姿勢を通してサービスの長期運営に取組んでまいりました。ゲーム内で実施したアンケートやお問い合わせに寄せられた意見・要望等を参考に、解決すべき課題の洗い出しや施策への活用、グラフィックのブラッシュアップ等、様々な取り組みを続けた結果、「幻獣契約クリプトラクト」は配信開始から25カ月を経過した月に、それまでの最高月額課金高を達成しており、現在も多くのお客様に楽しんでいただいております。

 

(注) 当社では、現在においてスマートフォンゲームや家庭用ゲーム機、PCゲーム等に親しんでいる層のほか、これらのゲームにかつて深く親しんだ経験のある層を対象としております。

 

b.プロモーション

当社は、設定した予算内でより費用対効果があると判断したプロモーションを実施しております。また、プロモーション単価のコントロールを適切に行うため、実施したプロモーション施策についてのデータ分析及びPDCAサイクルを遂行しております。プロモーション手法は基本的にウェブ中心でありますが、ゲーム内施策との連携を行う (具体的な例として、飲食店とのコラボレーション等によるリアルイベントの開催) など、新規のユーザーのみならず既存ユーザーへの訴求効果が見込めるような施策も取り入れております。

 

c.自社IPの活用

当社は、今後の中長期的な成長を見据えるために、収益貢献度が高く、かつ他社IPの制約にとらわれない開発が可能であるオリジナルタイトルの開発・運営を主力としており、プロモーションとの連携によって自社IPの確立及び収益の多角化を図っております。現行の取り組みといたしましては、同業他社に対する当社の著作物利用許諾を通して、PCや家庭用ゲーム機のプラットフォーム展開を行っており、当社はロイヤルティを受け取っております。

 

4 【関係会社の状況】

 

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

 

(1) 提出会社の状況

 

平成30年5月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

145 (17)

29.2

2.9

4,755

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数 (契約社員及びアルバイトを含み、人材会社からの派遣社員を除く。) は、最近1年間の平均人員を ( ) 外数で記載しております。なお、当社から他社への出向者及び他社から当社への出向者はおりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業セグメントは、スマートフォンゲーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。