回次 |
第17期 |
第18期 |
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決算年月 |
2015年12月 |
2016年12月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(千円) |
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包括利益 |
(千円) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は、2017年10月12日付で自己株式1,734,000株の消却を行い、2017年10月13日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っております。その結果、本書提出日現在の発行済株式総数は44,358,000株となっております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第17期は潜在株式が存在しないため記載しておりません。第18期は、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
4.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
5.従業員数は就業人員であります。また、臨時雇用者数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
6.第17期及び第18期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任大有監査法人の監査を受けております。
7.2017年3月1日開催の取締役会決議により、2017年3月18日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割及び2017年9月19日開催の取締役会決議により、2017年10月13日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っておりますが、第17期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
回次 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
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決算年月 |
2012年12月 |
2013年12月 |
2014年12月 |
2015年12月 |
2016年12月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
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|
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△ |
資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益金額又は 1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
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△ |
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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△ |
株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
|
|
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(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.第18期の経常利益及び当期純利益については、円高による為替影響により外貨建て売上高の減少により経常損失及び当期純損失となっております。
3.当社は、2017年10月12日付で自己株式1,734,000株の消却を行い、2017年10月13日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っております。その結果、本書提出日現在の発行済株式総数は44,358,000株となっております。
4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第14期、第15期、第16期及び第17期は潜在株式が存在しないため記載しておりません。第18期は、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できません。また、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
6.第18期の配当性向については、当期純損失であるため、記載しておりません。
7.第17期及び第18期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任大有監査法人の監査を受けております。
なお、第14期、第15期及び第16期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任大有監査法人の監査を受けておりません。
8.2017年3月1日開催の取締役会決議により、2017年3月18日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割及び2017年9月19日開催の取締役会決議により、2017年10月13日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っておりますが、第17期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△)を算定しております。
9.当社は、2017年3月18日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割及び2017年10月13日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第14期、第15期及び第16期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任大有監査法人の監査を受けておりません。
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第14期 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
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2012年12月 |
2013年12月 |
2014年12月 |
2015年12月 |
2016年12月 |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
139.14 |
176.42 |
187.98 |
200.11 |
192.73 |
1株当たり当期純利益金額又は 1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
45.77 |
38.95 |
13.01 |
16.24 |
△0.77 |
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
1.67 |
1.67 |
4.00 |
6.67 |
9.33 |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
年月 |
沿革 |
1999年8月 |
東京都大田区に各種光学成膜装置の製造販売を目的として当社設立 |
1999年9月 |
埼玉県川越市に第1工場新設 |
2000年3月 |
光通信用多層膜フィルタ成膜装置(NBPF)販売開始 |
2000年5月 |
本社を埼玉県川越市に移転 |
2000年12月 |
成膜装置部品製造販売を目的に光馳科技(上海)有限公司(現 連結子会社)を設立 |
2001年1月 |
IAD光学薄膜形成装置OTFCシリーズ販売開始 |
2001年4月 |
生産能力拡張を目的に本社工場に第2工場新設 |
2004年10月 |
光馳科技(上海)有限公司が上海市内の新工場竣工に伴い移転 |
2006年5月 |
汎用型光学薄膜形成装置Gener-1300販売開始 |
2007年8月 |
光学薄膜装置の生産を本社工場から光馳科技(上海)有限公司に順次移管 |
2010年12月 |
防汚膜成膜装置Gener-2350販売開始 |
2011年9月 |
反応性プラズマ成膜装置RPDシリーズ販売開始 |
2013年1月 |
中国国内営業取引の拡充を目的に光馳(上海)商貿有限公司(現 連結子会社)を設立 |
2013年9月 |
生産・研究開発の拡充を目的に光馳科技股份有限公司(台湾)(現 連結子会社)を設立 |
2014年2月 |
光馳科技股份有限公司(台湾)の工場竣工 |
2014年8月 |
販売体制の拡充を目的にOptorun USA, INC.(現 連結子会社)を設立 |
2014年11月 |
成膜事業への事業領域拡大を目的に薄膜加工サービスを提供する東海光電股份有限公司(現 持分法適用関連会社)に出資 |
2015年7月 |
光学膜用スパッタ成膜装置NSC-15販売開始 |
2015年9月 |
連続式光学薄膜形成装置COFCシリーズ販売開始 |
2017年2月 |
光馳科技股份有限公司(台湾)が生産・研究開発の拡充を目的に台湾苗栗県に新工場を取得 |
2017年8月 |
成膜事業への事業領域拡大を目的に薄膜加工サービスを提供する浙江晶馳光電科技有限公司(現 持分法適用関連会社)に出資 |
当社グループは、当社(株式会社オプトラン)、連結子会社4社及び関連会社2社により構成されており、光学薄膜装置の製造・販売を主要な事業としております。光学薄膜とは、レンズ等の各種光学部品の表面にコーティングを施し、コーティングの材料により異なる機能(例:反射防止、赤外線カット等)を持たせることをいいます。具体的には、デジタルカメラやプロジェクター等の一般光学部品、スマートフォンやタブレット等のタッチパネル、LED照明、車載カメラ、人体・生物認証センサ等に用いられています。当社グループはその光学薄膜を成膜する装置の製造を事業としており、顧客である当社の光学薄膜装置を使用して、製品・部品に成膜加工を行う加工・製造メーカー、最終製品メーカーに対して、グループ全体で一体となって、常に多様な顧客ニーズに対応する成膜ソリューションを提供しております。
なお、当社グループの事業は、成膜装置事業の単一セグメントであります。
当社グループの成膜装置事業の特徴は以下のとおりです。
① 成膜プロセスに関する高度な技術力
② グローバル顧客をターゲットとした生産・販売・研究開発体制
③ 成長市場への事業領域の拡大
(1)市場について
当社グループが属する光学薄膜装置市場は近年、最終製品に求められる成膜機能の増加やカメラの複眼化に伴い、需要が拡大しております。
光学薄膜装置市場は、成膜を必要とする最終製品の市場の成長に伴い拡大していくものです。当社グループが対象とする最終製品の世界市場については、2015年から2019年の成長率として、スマートフォンが30%増加、LED照明が10%増加と見込まれており、これらの成長に伴い、光学薄膜装置市場も伸びると想定しております。特に当社グループが今後成長市場と認識している車載カメラレンズについては、181%増加と飛躍的な成長が見込まれております(出所:株式会社富士キメラ総研 2016イメージング&センシング関連市場総調査、株式会社富士経済 2015年光学/透明部品・材料市場の現状と将来展望)。
技術的な面としては、ここ数年の世界的な市場規模拡大が続くスマートフォンではカメラ機能の解像度の飛躍的アップ・3D化による複眼カメラ機能の搭載・生体認証センサの搭載等新規技術への要求が高まっております。また、当社グループが市場開拓した最新のLED向け成膜装置についても、旧来型照明から発熱効率、放熱性能、カラー演出性能等の特長を有するLED照明へ商品世代交代の時期を迎え、市場規模が国際的に堅調に伸びております。
これらに加え、新規市場として監視カメラ・車載カメラ・人体/生物認証センサについても被写体認識をより鮮明に行うため、新製品に光学薄膜の応用が期待され、需要が高まっております。また、従来の一般光学分野においても一眼レフカメラやデジタルカメラの高機能化により高度な成膜技術の需要が高まってきている状況です。
(2)成膜装置事業
当社グループの顧客は、最終製品の製造を行う企業が中心となっており、顧客が要求する成膜機能を充たす光学薄膜装置を受注し、自社製造して販売することで販売金額を売上高として計上しております。
光学薄膜装置の受注から販売までの流れは以下のとおりです。
(注)上記図は目安であり受注の大幅な増加や当社グループの生産状況によって、出荷後検収完了までに生じたトラブルへの対応や追加的な要望が発生すること等により受注から検収まで長期間を要する可能性があります。
当社グループは、光学薄膜装置に関する総合的な提案型企業として、研究開発により蓄積した知見をもとにした装置製造、成膜プロセス提供、アフターサービス(部品交換、保守点検等)までの一貫したソリューションビジネスを展開しております。当社グループの製品は受注生産が基本であり、製造に際しては顧客との信頼関係を元に綿密な打合せを重ねて具体的なニーズに基づいて細かい仕様を決定し設計を行っております。装置完成後は工場内で出荷前検収を受け、その後搬送のために一度解体し、納入先にて組立据付後、再度検収を受けております。納入後は、顧客が満足の行くまで繰り返し検収を受けております。また、成膜装置については1年間の保証期間を設け、操作上の不具合や問題点などが起きた場合でも迅速に対応できる体制を採っております。
また、関連会社の東海光電股份有限公司において、国内有力光学薄膜メーカーである株式会社トーカイ(東海光電股份有限公司の株主)の成膜生産技術を用い、当社グループの成膜装置を使用し、当社が成膜アドバイスも行いながら、IRカットフィルタやローパスフィルタ等への薄膜加工サービスを行っております。従来のデジタルカメラ等のカメラレンズ成膜に加え、スマートフォンカメラモジュール、車載カメラ、監視カメラ等の新たなレンズ成膜需要を取り込み、高度成膜技術を応用し事業領域の拡大を図っております。さらに、薄膜加工サービスの提供を目的として、当社株主の中国有力レンズ加工メーカーである浙江水晶光電科技股份有限公司と当社の合弁会社として、2017年8月に新たに浙江晶馳光電科技有限公司を設立しております。当社グループの成膜事業への事業領域の拡大は、従来、主に光学薄膜装置の生産・販売を行ってきましたが、より市場規模の大きな成膜事業への展開を図り、事業の多角化により収益基盤を安定化させる方針に基づいております。
最終製品に付加できる光学薄膜の機能は、例えば画像を鮮明に見せるための反射防止膜、表面の汚れを防止しタッチパネル操作を滑らかにする防汚膜があり、具体的には下図のような成膜機能を付加することが可能であります。カメラレンズはレンズが数枚あり、光がレンズを通過するごとに反射し、光量が失われますが、反射防止膜を成膜することにより光の反射を減らし、ガラスの奥にある対象物がより鮮明になります。
(注)ITOとは透明かつ導電性を有する酸化インジウムスズの英語名であるIndium Tin Oxideの頭文字から取った名前であり、この薄膜をITO膜と呼びます。スマートフォンの場合、透明導電性を活かして薄型の透明電極として使用しています。
(代表的な成膜対象となる最終製品)
代表的な成膜対象となる最終製品 |
当社成膜装置で蒸着する成膜の主な機能 |
スマートフォン |
タッチパネル部分への反射防止膜、防汚膜、ITO膜、傷防止膜 カメラモジュール部分への反射防止膜、IRカットフィルタ ボディ全体への硬質加飾膜 |
LED |
LEDチップへのITO膜、増反射膜、窒化アルミ膜 |
生体認証 |
生体認証センサへの成膜(指紋・虹彩・網膜・顔・音声等による認証方法として、セキュリティシステム・PCログイン・スマートフォンログイン・病院/銀行/出入国管理システムの本人確認に活用) スマートフォンの生体認証センサへの反射防止膜、N-IRフィルタ(近赤外線フィルタ) |
自動車 |
サラウンドビューモニタ等の車載カメラ部分に反射防止膜、IRカットフィルタ カーナビへの防汚膜 センサ部分の加飾膜 |
VR/AR |
ヘッドアップ・ヘッドマウントディスプレイ部分へのIRカットフィルタ、防汚膜、硬質膜、ハーフミラー膜、ダイクロックミラー(波長分離フィルタ) |
半導体光学融合 |
より微細な半導体設計を可能とする光学薄膜技術の半導体製造装置への応用 モーションセンサの反射防止膜、バンドパスフィルタ |
光通信 |
DWDM(高密度波長分割多重)モジュールにバンドパスフィルタ |
デジタルカメラ(一眼レフカメラ) |
カメラレンズ部分への反射防止膜、IRカットフィルタ |
薄膜技術にはいくつか種類がありますが、当社の薄膜技術は、主に「イオンビームアシスト蒸着方式」又は「スパッタリング方式」を採用しております。「イオンビームアシスト蒸着方式」とは、成膜方式の1つで、成膜する薄膜の材料物質を電子銃で直接照射し加熱蒸発させ、蒸着時にイオンを照射すること(イオンアシスト)で膜の組成を制御し、安定した緻密な膜を作ることができる成膜方式です。「スパッタリング方式」とは、成膜方式の1つで、高エネルギーの原子や分子が固体に衝突すると、火打石から火花が出るように固体表面から原子が叩き出されます。この現象をスパッタと呼び、スパッタされる固体をターゲットと呼びます。スパッタリング装置は光学薄膜の材料物質をターゲットとし、スパッタリング方式で叩き出された原子を基板上に堆積させて薄膜を生成する方式です。
各薄膜技術の方式により、膜の質、成膜の効率性等が異なるため、最終製品に求められる成膜の機能、成膜の加工数等によって、主要な製品ベースを基に、顧客向けに個別のカスタマイズを行った上で提供しております。
当社の製品ベースは、デジタル家電・デジタル機器・LED照明向け光学薄膜の成膜、加飾膜(光学的に色を発色させる機能を持たせる成膜)の成膜等に対応した光学汎用機種、高精度の超多層膜向けの高級機種、低コスト機種など、顧客のニーズに対応した装置のラインアップとなっております。
主要な製品ベース・薄膜形式及び主な用途は下表のとおりであります。
主要な製品名 (型式) |
薄膜形式 |
主な用途 |
光学薄膜形成装置 (OTFCシリーズ)
|
イオンビームアシスト蒸着方式
|
内容:IRカットフィルタ(注3)、帯域フィルタ(注4)、ARコーティング(注5)等のシフトレス光学フィルタ(注6)を安定生産するためのイオンビームアシスト蒸着(IAD)式高性能光学薄膜形成装置 主な用途:デジタルカメラ、プロジェクター等各種光学部品 |
汎用型光学薄膜形成装置 (Gener-1300)
|
真空蒸着方式(注1)
|
内容:反射防止膜を大量生産するために設計製作された光学薄膜形成装置 主な用途:デジタルカメラ、プロジェクター等各種光学部品 |
防汚膜成膜装置 (Gener-2350)
|
イオンビームアシスト蒸着方式
|
内容:防汚膜、反射防止膜だけでなく、両者を組み合わせた膜に特化した大型光学薄膜形成装置 主な用途:スマートフォンタッチパネル(防汚膜) |
主要な製品名 (型式) |
薄膜形式 |
主な用途 |
反応性プラズマ成膜装置 (RPDシリーズ(ITO/AlN))
|
イオンプレーティング方式(注2)
|
内容:高性能なLED機能性膜(ITO:透明導電膜/AlN:窒化アルミニウム)を低コストにて量産することができる反応性プラズマ成膜装置 主な用途:LED照明 |
光学膜用スパッタ成膜装置 (NSC-15)
|
スパッタリング方式
|
内容:メタル(金属)モード・スパッタリング法(注7)と高反応性プラズマ源(注8)を組み合わせた量産用光学薄膜スパッタ装置 主な用途:スマートフォンタッチパネル(ハード反射防止膜)、スマートフォン筐体(カラー装飾膜)、スマートフォンカメラモジュール(ハード反射防止膜) |
(注)1.真空蒸着方式とは、真空中で蒸着材料を熱して気化(蒸発又は昇華)させ、基板表面に付着させることで薄膜を形成させる方法です。
2.イオンプレーティング方式とは、真空蒸着方式で気化させた薄膜材料を電気的に加速させて基板に付着させる方法です。
3.IRカットフィルタとは、デジタル画像の特徴である赤外(赤色発生)部分をカットし、より人間の目と同じ色彩を映し出すために必要な光学フィルタです。
4.帯域フィルタとは、特定の波長の光だけを透過又は反射させるフィルタを指します。IRカットフィルタも帯域フィルタに該当します。
5.AR(Anti-Reflection: 反射防止)コーティングとは、ガラス表面からの反射を低減させるコーティングのことです。透明なガラスとはいえ、光を照射すると約4%の光がガラス表面で反射します。光が入る表面、抜けていく裏面とそれぞれ約4%ずつ反射するため、ガラスを透過する光は約92%まで下がってしまいます。この光の減衰を減らすために、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜を交互に重ねたコーティングを施しています。身近な例だとメガネやデジタルカメラなどに施されています。
6.シフトレス光学フィルタとは、フィルタが取り巻く環境の変化に対してフィルタの光学特性が変化しない(シフトしない)フィルタをいいます。コーティングに用いられる薄膜の中に小さな隙間(空乏)がある場合、湿度が高い環境におかれると空気中の水分子が空乏に入り込み、薄膜の見かけ上の屈折率を高くします。また、高い温度にさらされることで、膜の中の水分子が吐き出され、薄膜の見かけ上の屈折率は低くなります。屈折率の変化はフィルタの光学特性を変えてしまうため、シフトレス光学フィルタは空乏が無い高密度フィルタです。
7.メタル(金属)モード・スパッタリング法とは、金属を原料としたスパッタリング方式を指します。スパッタリングに用いられるプラズマはターゲットの種類によって区分けされます。金属ターゲットの場合、ターゲットの導電性が良いために与えられた電力は効率的にターゲットの蒸発に使用されます。一方、導電性に劣る化合物ターゲットの場合、電気抵抗として働くため、与えられた電力の一部は熱へと変換してしまい、ターゲットが蒸発する効率は悪くなってしまいます。この違いはターゲット微粒子の飛散や蒸発レートの違いとしてハッキリと表れるため、両者を区別するためにスパッタリングモードが異なるという言い方がされるようになったと考えられます。
8.高反応性プラズマ源とは、スパッタリングで基板に付けられた金属薄膜を酸化・窒化させるために用いられるプラズマ源のことをいいます。当社が採用しているプラズマは電子・イオンの密度が高く、これらが有する内部・運動エネルギーが高いため、反応し難い薄膜でも容易に化学反応を起こして金属化合物へと転化させます。
(3)事業の特徴について
① 成膜プロセスに関する高度な技術力
光学薄膜については、「成膜プロセス」のノウハウが重要であります。成膜プロセスとは、光学薄膜の設計及び実際の成膜時のプログラミングによる条件設定までのことを表し、成膜プロセスの各段階のノウハウの蓄積があるほど、顧客である加工・製造メーカー、最終製品メーカーが求める機能を充たす成膜装置の製造・装置設定をより質高く、スピーディーに提供できます。具体的に成膜プロセスで求められるノウハウとは、薄膜の設計段階では、全体の膜構成・膜の層数・1層ごとの膜の厚さ・膜の材質(物質)の使い分けなど、成膜の過程では、膜の組成構造や緻密性・1層ごとの膜の厚みの誤差の少なさ・成膜基板に対する付着強度などの設定によりどのような結果が出るかというデータの蓄積です。また、光学部品を内蔵した最終製品が実際に使用される環境での温度・湿度といった環境の変化や時間経過に対する耐久性や性能変化の少なさなども重要です。それらの結果として、光学薄膜装置の量産性、品質の安定性、歩留まりの良さ、ランニングコストの最小化などにつながります。
当社グループは、「オプトナノテクノロジー(光学薄膜技術をナノレベルの超微細なスケールで発揮し、最高度光学薄膜性能を発揮させること。)による光学薄膜成膜のプロセスソリューション提供」を事業コンセプトに、1999年の創業以来、光学薄膜、真空技術それぞれの分野で、グループ全体が一体となって顧客の薄膜ニーズを的確に捉え、光学薄膜の新たな可能性にチャレンジしてまいりました。薄膜成膜技術は高度化が進み、顧客が要求する成膜水準を達成する技術力は必須であり、当社は成膜装置の提供のみならず、成膜装置を使用する際のプログラミングなど、成膜プロセスに関わるコンサルティングに強みを持つことで他社との差別化を図ってきました。
上記を可能としているのは、これまでに蓄積した成膜データであり、光馳科技(上海)有限公司、当社の研究開発部門において日々研究を実施していたことに加えて、当社は製品開発前に顧客依頼による研究開発や共同開発を積極的に行っていることで、豊富な成膜プロセスデータを蓄積しております。このように当社グループはハードとソフトを一本化してセールスエンジニアが顧客に提供することで、装置稼動後においてもメンテナンスはもとより、膜質の改善や生産性向上に関するアドバイスを行い、カスタマーサービスの充実に努めております。
また、成膜装置の性能を決める重要部品であるイオンソース・光学モニター等の重要部品を内製化しております。23cmイオンソースは直径1600㎜以上の広範囲にビーム照射可能であり、成膜装置の高性能化に寄与しております。
近年はスマートフォンの世界的な需要増の中で、大手スマートフォンメーカーによる特定機種が、世界市場を席巻する状況となっており、最終製品の数量の巨大化、競争の激烈化、ライフサイクルの短期化による最先端成膜技術への継続的なニーズ拡大等の事象が発生しております。最終製品の増産及びコスト競争のため、顧客が求める成膜生産能力の達成も重要となっており、重要部分である成膜については成膜装置の大型化による増産対応と最終製品単位当たりの装置減価償却費削減を同時に実現することが成膜装置メーカーに求められております。当社は装置の大型化に取り組み続けており、現在のGener-2350は、当社最大の装置となっております。また、自社製高性能イオンソース・光学モニター等を搭載し、高品質で大量の成膜を一度に行うことや、解像度・膜の強さ・光の透過度の自在性を高レベルで実現するようさらなる技術力の向上に努めております。
また、従来携帯電話はボタンによる操作を前提としており、携帯電話の画面を直接触って操作することは考えられませんでしたが、スマートフォンの出現により画面を直接触って操作するタッチパネルやスマートフォンケースの表面摩耗やひび割れを防ぐ必要が生じました。これがスパッタ装置の巨大需要につながり、化学分子を電子の力で直接タッチパネル基板に付着させ、割れにくく、こすっても摩耗しない成膜が可能となりました。イオンビームアシスト蒸着方式が幅広い成膜に応用可能な成膜のし易さがあるのに対し、スパッタリング方式による成膜は膜の強度・剥がれ難さ・割れにくさの点で優れており、スマートフォンの出現が、スパッタリング方式による成膜装置需要の盛り上がりの起爆剤となっております。当社は従来より独自でスパッタリング方式の基礎技術を開発してきており、昨今の市場ニーズを素早く反映し、独自に最先端のスパッタリング装置を開発・生産し、市場ニーズを先行的に捕捉するよう努めております。
② グローバル顧客をターゲットとした生産・販売・研究開発体制
(生産体制)
光学薄膜生産拠点は従来、日本が市場を牽引しておりましたが、近年、日本から東アジアに大きくシフトしております。特に人件費の安さから中国が光学薄膜生産拠点として非常に大きな地位を占めるようになり、光学部品メーカーの多い台湾・韓国等の重要性も飛躍的に拡大しております。最終製品の製造は、メーカーの自社製造から中国・台湾等の製造専門の企業にアウトソース化が進んでいることも背景にあります。そのような中、当社グループは、競合他社に先駆けて2000年12月に中国(上海)に光馳科技(上海)有限公司を設立いたしました。当社常勤取締役及び執行役員の多くは中国出身者であり、日米光学関連企業で経営・技術開発・生産の経験を持つ人材が占めており、言語の障害なく中国・台湾・米国企業のトップ及び中間管理職との意志疎通を日常的に行っております。この経営スタイルが、近年の世界の光学製品・部品生産の東アジアシフトに呼応して、当社事業の強力な基盤となっております。製造機能については、2007年8月から順次、当社から光馳科技(上海)有限公司へ移管しており、顧客の生産拠点の近くで生産を開始し、厳しい品質検査を経たのちに受入れる中国製部品の採用により、生産コストの削減を図ると同時に顧客の成膜ニーズを捉えて、高品質の製品を提供する体制を構築しております。また、2013年9月に台湾(台中)に光馳科技股份有限公司(台湾)を設立し、当社グループの新たな生産・研究開発拠点として、台湾の光学部品や半導体等の分野において高い国際競争力をもつ各社との緊密な関係を築いております。
(販売体制)
当社グループは、営業拠点を当社(日本)、光馳科技(上海)有限公司、光馳科技股份有限公司(台湾)及びOptorun USA, INC.(米国カリフォルニア州)に設けております。顧客の生産拠点に近い上海及び台湾で生産現場からの成膜ニーズを捉え、米国においては、シリコンバレー発のIT先進技術に基づく成膜ニーズを捉え、マーケティング力強化を図る体制としております。
(研究開発体制)
当社は「薄膜技術の限界にチャレンジすることを通じ、高度情報化社会への貢献を実現する。」を「使命」として研究に当たっています。研究開発においては当社(日本)が中心に研究開発をしておりますが、光馳科技(上海)有限公司、光馳科技股份有限公司(台湾)にも要員を配置し、顧客と直接コンタクトし、新たな成膜ニーズを捉え、即時に対応する体制としております。顧客から得た新たな成膜ニーズは、当社、光馳科技(上海)有限公司、光馳科技股份有限公司(台湾)で情報共有し新たな市場を掘り起こすよう努めております。
グローバルに展開する各生産・販売・研究開発拠点が横断的な機能を有し、技術ノウハウ・顧客の成膜ニーズを素早く水平展開することで、ベストな技術的対応方法を提案することが可能になり、光学薄膜技術市場の潜在ニーズの掘り起こしと装置受注の獲得に努めております。
③ 成長市場への事業領域の拡大
光学薄膜技術の応用分野は、携帯電話・プロジェクター等のデジタル家電から、近年ではスマートフォンタッチパネル・カメラレンズ、LED照明等に市場が拡大してまいりました。当社グループは最終製品の技術革新・市場拡大とともにこれらの最終製品の製造者である顧客の技術的ニーズに応えてまいりました。
2001年頃は光通信向けの装置が売上の中心でしたが、2006年頃から光学向け(デジタルカメラレンズやIRカットフィルタ等)の装置が売上の中心となり、2011年頃以降、光学向けのみならずLED、タッチパネル向け(スマートフォン、タブレット等)、赤外センサ関連向けの装置の売上が拡大しております。
2016年以降については、スマートフォンカメラモジュール等の光学向け、スマートフォン及びタブレット等のタッチパネル向けの装置が売上の中心となっており、赤外センサ関連、LED等も含めて、当社顧客のニーズに合わせて開発・製造及び販売をしてまいりました。
また、2017年以降についてはスマートフォン向けのタッチパネル、カメラレンズ向けの装置売上がより拡大する中で、成膜の新たな市場として注目される業界においても、当社は既に取引実績を積み上げております。例えば、生体認証では、大手メーカーのスマートフォンの生体認証センサに係る成膜装置の取引実績を有し、半導体、車載センサにおいても中国、台湾の大手メーカーとの取引実績を有しております。また、VR/ARにおいても、ヘッドマウントディスプレイに係る成膜装置の取引実績を有しております。今後も新たな市場ニーズを反映し、さらに新たな市場ニーズを喚起するような高度な成膜技術開発を行うことに努めてまいります。
[事業系統図]
事業系統図は以下のとおりであります。
(1)仕入
当社及び製造子会社は国内外の仕入先より部品・原材料を仕入れております。一部部品については当社が国内仕入先より仕入を行い、製造子会社へ供給しております。
(2)生産
当社は国内外の顧客から受注し、製造子会社において生産しております。
(3)販売
当社は製造子会社で生産した成膜装置を仕入れ、国内外の顧客に販売及び保守サービスを提供しております。一部成膜装置については、製造子会社及び販売子会社で販売し、製造子会社で保守サービスを提供しております。
持分法適用会社において、薄膜加工サービスを提供しております。
名称 |
住所 |
資本金 又は 出資金 |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(連結子会社) |
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光馳科技(上海)有限公司 (注)1 |
中国 上海市 |
千円 800,000 |
成膜装置 製造販売 |
100.0 |
当社製品の製造販売 役員の兼任あり 債務保証あり |
光馳科技股份有限公司(台湾) (注)1 |
台湾 台中市 |
千台湾ドル 220,000 |
成膜装置 製造販売 |
100.0 |
当社製品の製造販売 役員の兼任あり |
光馳(上海)商貿有限公司 (注)1、2 |
中国 上海市 |
千米ドル 1,000 |
成膜装置販売 |
100.0 |
当社製品の販売 役員の兼任あり |
Optorun USA, INC. (注)1 |
米国 カリフォルニア州 |
千米ドル 1,000 |
市場調査 |
90.0 |
役員の兼任あり |
(持分法適用関連会社) |
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東海光電股份有限公司 (注)3 |
台湾 新竹市 |
千台湾ドル 167,129 |
薄膜加工 サービス |
22.4 |
当社製品の販売 役員の兼任あり 債務保証あり |
(その他の関係会社) |
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浙江水晶光電科技 股份有限公司 |
中国 浙江省 |
千人民元 436,612 |
光学部品 製造販売 |
被所有 20.4 |
当社製品の販売 役員の兼任あり |
株式会社アルバック (注)5 |
神奈川県茅ヶ崎市 |
千円 20,873,042 |
真空装置 製造販売 |
被所有 18.1 |
部品の購入 役員の兼任あり |
(注)1.特定子会社に該当しております。
2.光馳(上海)商貿有限公司については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1) 売上高 2,731,083千円
(2) 経常損失 △82,335千円
(3) 当期純損失 △61,464千円
(4) 純資産額 88,471千円
(5) 総資産額 1,155,530千円
3.2017年1月に光馳科技股份有限公司(台湾)が増資の引受を行い、さらに2017年3月に当社グループ外への第三者割当増資が行われた結果、本書提出日現在における当社グループの議決権の所有割合は間接所有分を含めて33.4%(当社の直接所有分は12.8%)となっております。
4.第18期連結会計年度末後に以下の会社を設立したため、新たに持分法適用関連会社となっております。
名称 |
住所 |
資本金 又は 出資金 |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
浙江晶馳光電科技有限公司 |
中国 浙江省 |
千人民元 60,000 |
薄膜加工 サービス |
49.0 |
- |
5.その他の関係会社の株式会社アルバックは有価証券報告書を提出しております。
当社グループは、成膜装置事業の単一セグメントのため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(1)連結会社の状況
2017年9月30日現在 |
従業員数(人) |
600 |
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(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。
2.臨時雇用者数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
2017年9月30日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
67 |
38.3 |
8.8 |
9,176,779 |
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。
2.臨時雇用者数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。