第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第32期

第33期

決算年月

平成26年12月

平成27年12月

売上高

(千円)

5,216,268

5,950,790

経常利益

(千円)

449,945

447,211

当期純利益

(千円)

418,497

403,381

包括利益

(千円)

502,056

373,301

純資産額

(千円)

3,588,526

3,928,527

総資産額

(千円)

4,986,837

5,235,166

1株当たり純資産額

(円)

1,796.05

1,966.22

1株当たり当期純利益金額

(円)

209.46

201.89

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

72.0

75.0

自己資本利益率

(%)

12.5

10.7

株価収益率

(倍)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

126,505

103,459

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

35,931

59,237

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

225,702

56,236

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

2,644,797

2,750,792

従業員数

(ほか、平均臨時

雇用人員)

(名)

73

(―)

79

(―)

 

(注) 1.当社は第32期より連結財務諸表を作成しております。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、新株予約権の残高がありますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

4.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

5.第32期及び第33期の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。

6.平均臨時雇用人員は、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

7.平成27年8月29日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っておりますが、第32期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

平成23年12月

平成24年12月

平成25年12月

平成26年12月

平成27年12月

売上高

(千円)

4,907,363

4,282,046

4,512,885

5,225,086

5,950,527

経常利益

(千円)

445,152

600,090

865,028

347,173

262,250

当期純利益

(千円)

194,623

408,335

725,327

318,153

235,960

資本金

(千円)

25,600

42,101

42,101

42,101

42,101

発行済株式総数

(株)

600

666,004

666,004

666,004

1,998,012

純資産額

(千円)

1,756,684

2,198,705

2,892,549

3,197,961

3,371,629

総資産額

(千円)

4,333,243

4,652,077

4,263,857

4,133,621

4,283,736

1株当たり純資産額

(円)

2,927,808.09

3,301.34

4,343.14

1,600.57

1,687.49

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

50,000

(―)

50

(―)

50

(―)

50

(―)

20

(―)

1株当たり当期純利益金額

(円)

303,423.94

675.08

1,089.07

159.23

118.10

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

40.5

47.3

67.8

77.4

78.7

自己資本利益率

(%)

11.8

20.6

28.5

10.4

7.2

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

16.5

7.4

4.6

10.5

16.9

従業員数

(ほか、平均臨時

雇用人員)

(名)

54

(―)

59

(―)

64

(―)

71

(―)

77

(―)

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第29期は潜在株式が存在しないため、また、第30期、第31期、第32期及び第33期は新株予約権の残高がありますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

3.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

4.第32期及び第33期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりますが、第29期、第30期及び第31期の財務諸表については、当該監査を受けておりません。

5.平均臨時雇用人員は、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

6.平成24年9月7日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っておりますが、第30期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。また、平成27年8月29日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っておりますが、第32期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

7.平成24年9月7日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行い、平成27年8月29日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第29期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第29期、第30期及び第31期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

平成23年12月

平成24年12月

平成25年12月

平成26年12月

平成27年12月

1株当たり純資産額

(円)

975.94

1,100.45

1,447.71

1,600.57

1,687.49

1株当たり当期純利益金額

(円)

101.14

225.03

363.02

159.23

118.10

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益金額

(円)

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

16.67

(―)

16.67

(―)

16.67

(―)

16.67

(―)

20.00

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

昭和58年9月

電子楽器の開発、製造及び販売を主事業とする目的で、東京都千代田区佐久間町にて創業

昭和60年3月

東京都千代田区岩本町に本社移転

平成元年2月

株式会社巴商会より岡本コーポレーション株式会社を通じて出資を受け、子会社となる

平成2年2月

海外での事業展開を図るため、米国にZOOM Corporation of Americaを設立

平成2年6月

初の自社製品であるマルチエフェクター(9002)を発売

平成5年12月

東京都府中市に本社移転

平成6年2月

ZOOM Corporation of Americaを解散

平成6年3月

商品管理部門(倉庫)を東京都府中市に移転

平成9年12月

株式会社巴商会と提携解消し有限会社ズームホールディングスを設立。当社株式を譲受、当社の親会社となる

平成13年8月

マルチトラックレコーダー(MRS-1044)を発売

平成16年7月

平成16年9月

香港における物流の拠点としてZOOM HK LTD(現 連結子会社)を設立

東京都千代田区岩本町に本社移転

平成18年9月

ハンディオーディオレコーダー(H4)を発売

平成18年10月

イギリスにおける販売の拠点としてZOOM UK Distribution LTD(現 持分法適用関連会社)を設立

平成21年2月

中国における品質管理の拠点として、中国東莞市に東莞滋韵電子楽器技術諮詢有限公司(現 持分法非適用非連結子会社)を設立

平成21年8月

東京都千代田区神田駿河台に本社移転

平成21年11月

ハンディビデオレコーダー(Q3)を発売

平成23年4月

有限会社ズームホールディングスを吸収合併

平成25年2月

米国における販売の拠点としてZOOM North America LLC(現 持分法適用関連会社)を設立

平成25年10月

モバイルデバイスアクセサリ(iQ5)を発売

平成26年5月

オーディオインターフェース(TAC-2)を発売

平成27年8月

プロフェッショナルフィールドレコーダー(F8)を発売

平成28年5月

エレクトロニックダンスミュージック(ARQ AR-96)を発売

平成28年8月

倉庫を東京都足立区に移転

 

 

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の概要

当社グループは、当社、子会社2社(連結子会社1社、持分法非適用非連結子会社1社)、及び関連会社3社(持分法適用関連会社2社、持分法非適用関連会社1社)から構成されております。連結子会社であり生産委託先からの製品の仕入及び当社と各国販売代理店への出荷を行っているZOOM HK LTDと、主要国での販売拠点として設立された関連会社であるZOOM North America LLC及びZOOM UK Distribution LTDと、その他2社から構成されております。

当社グループは、音楽用電子機器の開発及び販売を主な事業内容としており、「WE'RE FOR CREATORS」という基本理念のもと、世界中のクリエーターがよりユニークでオリジナルな作品を創造できるツールを提供することによってブランド力を構築し、株主、従業員や取引先などの当社グループと関係するステークホルダーから評価される企業を目指しております。

当社グループでは、開発は当社(日本)で行っておりますが、現在、生産は全て生産委託先である中国のEMS企業(注1)に外注しており自社工場は有しておりません。中国で生産された製品は全てZOOM HK LTDから当社を通じて、米国向けはZOOM North America LLCへ、英国向けはZOOM UK Distribution LTDへ、その他地域向けは、各国の販売代理店へ販売されます。なお、製品自体は中国又は香港の倉庫から国内の倉庫又は各国の販売代理店へ直接出荷しております。また、国内倉庫及び各国の販売代理店からは、直接または卸売を通じて楽器店や家電量販店、ネット通販業者などに出荷され、店頭あるいはインターネットにより最終顧客へ販売されます。

当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、当社グループの主な製品は下記のカテゴリーに区分されます。

 

製品カテゴリー

製品例

① ハンディオーディオレコーダー(HAR)

当社グループのハンディオーディオレコーダーは、楽曲配信で使われるMP3(注2)のような圧縮されたデジタル音声では無く、非圧縮音声で録音する高音質リニアPCMレコーダー(注3)です。マルチトラックレコーダーで培った録音技術を応用し、ロックミュージックを演奏するミュージシャン向けに開発しましたが、ミュージシャンのみならず、デジタル一眼レフで動画を撮影するクリエーターの間においても音声レコーダーとして使用されております。

H6


② マルチエフェクター(MFX)

当社グループのエフェクター(注4)は、デジタル処理を使った、複数のエフェクトを内蔵したマルチエフェクターです。エフェクトは内蔵された種類を任意に組み合わせることが可能で、作成した音色は本体に記録して、フットスイッチを踏むことで、呼び出して使うことができます。

当社は平成2年に“ギターのストラップに取り付けることのできる小型マルチエフェクター”をコンセプトとした9002を発売して以来、ベースギター用、アコースティックギター用、さらにそれらの価格帯別モデルなど、様々な製品を発売しております。

G5n

 


 

③ ハンディビデオレコーダー(HVR)

当社グループのハンディビデオレコーダーは、ハイレゾオーディオ(注5)音質での録音に対応した音楽用ビデオレコーダーです。現在販売している製品ではハイビジョンと言われるHD画質に対応しており、YouTube,LLCが提供する「YouTube」や、Vimeo,LLCが提供する「Vimeo」などの動画投稿サイトに、HD画質の動画をアップロードできるようになっております。

 

Q4n


 

④ マルチトラックレコーダー(MTR)

マルチトラックレコーダーは、複数のトラック(録音データの単位)を自由に選択し、録音/再生を行う事ができる録音機器で、ベースとなる曲を作成し、別トラックに歌、更に別トラックに音階の異なる歌を録音するといった多重録音ができる製品です。当社の製品は、SDカードというデジタルカメラ等で採用されている媒体にデジタルで録音します。音楽の制作はコンピュータソフトウェアを用いることが一般的になりましたが、引き続きアナログの操作性を好むユーザーもおり、一定規模の生産・販売を継続しております。

 

R8

 


 

 

 

⑤ モバイルデバイスアクセサリ(MDA)

モバイルデバイスアクセサリは、Apple Inc.により提供される「iOS」デバイスでレコーディングを行うことができる録音機器です。具体的には、「iPhone」「iPad」「iPod touch」に対応しており、コンパクト設計のステレオマイクによって、オーディオ録音やビデオ撮影時の音声も、CD品質のステレオサウンドで収録できます。

 

iQ7


 

⑥ オーディオインターフェース(AIF)

オーディオインターフェースとは、コンピュータへの音声の出入り口になる製品です。コンピュータ内では、デジタル信号しか受け付けないため、音声をコンピュータに入力する場合は、アナログからデジタルへ、コンピュータの音声を聞く場合は、デジタルからアナログへの変換をオーディオインターフェースが受け持つことになります。当社グループでは、平成26年5月にオーディオインターフェース単体としてTAC-2を発売しております。TAC-2にThunderbolt(注6)規格を採用し、レイテンシ(注7)を最小限にしたTACシリーズの商品展開を行って以来、普及の進んでいるUSB3.0規格に応じたUACシリーズ、当社の強みとするハンディタイプをUSB2.0で実現したUシリーズと、製品シリーズを展開しております。

 

U-44


⑦ プロフェッショナルフィールドレコーダー(PFR)

プロフェッショナルフィールドレコーダーは、屋外での使用を想定した、映像関連産業やサウンドデザイナーなどのクリエーター向けのレコーダーで、タイムコード(注8)などの機能を備えております。当社グループでは、平成27年8月にカテゴリー初となるフィールドレコーダーF8を、平成28年8月にはシリーズモデルとしてF4を発売いたしました。

 

F8


⑧ エレクトロニックダンスミュージック(EDM)

EDMは電子音を多用したダンスミュージックで、欧米を中心に世界的な流行となっており、DJがEDMを鳴らし続けるクラブ型の音楽フェスティバルが流行しております。当社グループでは、平成28年5月にこのカテゴリー初となるARQ AR-96を発売いたしました。この製品は円形に配置された96個のパッドを指で叩くことでEDMのリズムをプログラムでき、フレーズルーパー(注9)、シンセサイザー(注10)、シーケンサー(注11)等の機能が搭載されております。円形のパッドは本体から取り外してワイヤレスで使用することができ、DJがステージを動き回りながら使用できる製品となっております。

 

ARQ AR-96


 

<用語解説>

注番

用語

意味・内容

EMS企業

EMSはElectronics Manufacturing Serviceの略であり、EMS企業とは電子機器の受託生産を行う会社

MP3

音声ファイルを圧縮するための技術の1つであり、それから作られるファイルのフォーマット

リニアPCMレコーダー

リニアPCM形式で音声データを圧縮せずに記録するICレコーダー。リニアPCMは、音声などのアナログ信号をデジタルデータに変換する方式の一つであるが、音質が劣化する原因となる圧縮等の処理を行わない方式

エフェクター

ギターやベース等の音色に変化を付ける機器で、単体のエフェクトペダルと、複数エフェクトが1つの筐体に内蔵されたマルチエフェクターに分類される

ハイレゾオーディオ

JEITA(電子情報技術産業協会)の定義では、サンプリング周波数(kHz)と量子化ビット数(bit)のいずれかがCDスペックを超えているものをハイレゾオーディオといい、ここでいうCDスペックは16bit/44.1kHz又は48kHz

Thunderbolt

Intel CorporationがApple Inc.と共同開発した、高速汎用データ伝送技術

レイテンシ

楽器音を入力した後、信号処理とデータ転送が行われ、演奏者が楽器音を耳で聞くことができるまでの遅延時間のこと

タイムコード

時間、時刻情報を符号化した電気信号

フレーズルーパー

一定の時間記録したフレーズを繰り返しループ再生する装置

10

シンセサイザー

音を電子的に合成する装置

11

シーケンサー

入力した音を自動的に演奏する装置

 

 

 

(2) 事業系統図

 

 


※1は連結子会社であります。

※2は持分法適用関連会社であります。

※3は持分法非適用非連結子会社であります。

※4は持分法非適用関連会社であります。

 

 

4 【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

主要な事業
の内容

議決権の

所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 ZOOM HK LTD(注)2

中国香港

12.8千ドル

卸売業

 

100.0

 

音楽用電子機器及び

部品の輸出入

役員の兼務2名

(持分法適用関連会社)

 

ZOOM UK Distribution LTD

英国

ハートフォードシャー州

90千ポンド

販売代理店業務

 

33.3

 

製品の販売

資金の貸付

(持分法適用関連会社)

 

 ZOOM North America LLC

米国

ニューヨーク州

1,500千ドル

販売代理店業務

 

33.3

 

製品の販売

役員の兼務2名

 

(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

2.特定子会社に該当しております。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

平成29年1月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

音楽用電子機器事業

 80 (-)

合計

80 (-)

 

(注) 1.従業員数は就業人員数であります。

2.臨時従業員数は、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

3.当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

平成29年1月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

78 (-)

39.8

7.9

7,117,854

 

(注) 1.従業員数は就業人員数であります。

2.臨時従業員数は、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.当社は音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。