回次 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
第11期 |
第12期 |
第13期 |
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決算年月 |
平成23年3月 |
平成24年3月 |
平成25年3月 |
平成26年3月 |
平成26年9月 |
平成27年9月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
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△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移につきましては記載しておりません。
2.第12期は、決算期変更により平成26年4月1日から平成26年9月30日までの6ヶ月間となっております。
3.第12期及び第13期の財務諸表につきましては、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
なお第8期、第9期、第10期及び第11期の財務諸表につきましては、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき算定しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
4.売上高には、消費税等は含まれておりません。
5.持分法を適用した場合の投資利益につきましては、第8期から第13期におきましては当社が有しているすべての関連会社は、利益基準及び剰余金基準からみて重要性が乏しいため、記載を省略しております。
6.第8期から第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第13期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
7.第10期の自己資本利益率につきましては、当期純損失であるため、記載しておりません。
8.株価収益率につきましては、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
9.第9期より、「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(企業会計基準第2号 平成22年6月30日公表分)、「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第4号 平成22年6月30日公表分)及び「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第9号 平成22年6月30日)を適用しております。
10.第10期の当期純損失は、主に関係会社株式評価損を計上したことによるものであります。
11.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
12.平成28年7月6日開催の取締役会決議により、平成28年7月29日付で普通株式1株につき300株の株式分割を行っておりますが、第12期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
13.当社は、平成28年7月29日付で株式1株につき300株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第8期、第9期、第10期及び第11期の数値(1株当たり配当額につきましてはすべての数値)につきましては、新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
|
第8期 |
第9期 |
第10期 |
第11期 |
第12期 |
第13期 |
|
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平成23年3月 |
平成24年3月 |
平成25年3月 |
平成26年3月 |
平成26年9月 |
平成27年9月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
91.85 |
97.39 |
79.32 |
92.09 |
108.76 |
137.96 |
1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
8.08 |
5.54 |
△19.05 |
12.77 |
16.70 |
30.89 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 (うち1株当たり中間配当額) |
(円) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
当社は、代表取締役兼執行役員会長神保吉寿、代表取締役兼執行役員社長福留大士他3名の創業メンバーが、「Change People, Change Business, Change Japan」をミッションに、日本がより良い国へと変わり続けるために、ビジネスに関わる人と組織を、真に変革する事業を行うことを目指し、平成15年4月に設立致しました。当社の沿革は以下のとおりであります。
年月 |
事項 |
平成15年4月 |
大阪府大阪市北区に株式会社チェンジ(資本金650万円)を設立 ITプロジェクト等のコンサルティングビジネスを開始 IT人材を育成する研修ビジネスを開始 |
平成15年12月 |
東京オフィスを東京都港区表参道に開設 |
平成17年2月 |
本社を東京都港区表参道に移転 |
平成17年5月 |
業務拡張のため、本社を東京都港区外苑前に移転 |
平成18年7月 |
業務拡張のため、本社を東京都渋谷区宮益坂に移転 |
平成20年2月 |
業務拡張のため、本社を東京都渋谷区並木橋に移転 |
平成23年4月 |
Mobile & Sensing Applicationサービスを開始 |
平成24年4月 |
Enterprise Security & Infrastructureサービスを開始 |
平成25年10月 |
Analytics & IoTサービスを開始 |
平成26年9月 |
業務拡張のため、本社を東京都港区虎ノ門に移転 |
当社では、「Change People, Change Business, Change Japan」をミッションに掲げております。このミッションは、人や組織の「変革(Change)」を通じて、様々な社会課題に直面する日本の社会をよりよい方向に導くことが我々の究極的な存在意義であるということを意味しております。
人や組織の変革を促す手法には様々なものがありますが、当社では新たなIT技術を軸に据えております。このような、変革を起こすことにつながる新たなIT技術を当社では「NEW-IT」と呼んでおります。「NEW-IT」とは、従来の「価格が高く、構築に時間がかかり、使い勝手の悪い」IT(情報技術)とは異なり、昨今本格化している「価格が安く、導入がスピーディーで、使い勝手の良い」ITを指します。クラウド技術などはその典型例ですが、NEW-ITの一部でしかありません。ITを構成する要素は、端末・回線・ソフトウェア・ストレージ(注)など、多岐に渡るため、それらの構成要素の多岐に渡る課題を当社はワンストップで解決しております。
従来のITは、経理部門や人事部門などの間接部門、開発・製造・販売などの直接部門の中の企画部門や管理部門といった組織を対象として構築されるものでした。一方、当社では「NEW-IT」を用いて、特に、現場で働く人の仕事を支援することを主軸としております。例えば、航空会社におけるパイロットや整備担当者、ゼネコンにおける現場の監督者や作業担当者、鉄道会社における駅員や運転士。このような現場の最前線で活躍する人たちのIT化を実現するものであります。
当社では、上述のような考え方で、新しいIT技術を活かして日本企業の変革を促す事業を「NEW-ITトランスフォーメーション事業」と命名し、展開しております。
なお、当社は「NEW-ITトランスフォーメーション事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注) ストレージ:データを保管する場所、保存する場所
<ビジネスモデル>
(1)NEW-ITトランスフォーメーション事業の内容
当社はNEW-ITトランスフォーメーション事業を次のようなサービスラインで実行しております。サービスラインとは、弊社が提供している個別のサービスを大括りにしたサービスの総称であり、NEW-ITトランスフォーメーション事業を実行する組織名でもあります。
NEW-ITトランスフォーメーション事業を構成するサービスライン
サービスライン名 |
サービスラインの概要説明 |
収益源の具体例 |
Mobile & Sensing Application |
データ入力・参照及び意思決定支援デバイスとしてのモバイル活用とセンサーなどを用いた自動データ収集の仕組み構築・運用 |
●モバイルアプリケーションの企画・設計・開発・運用の受託 ●顧客要件に合わせたクラウドサービスの用途開発・導入 |
Enterprise Security & Infrastructure |
クラウドや仮想化技術などを用いたITインフラの刷新及びセキュリティルールの設定・モニタリング |
●セキュリティルールの見直しに向けた企画・実装の受託 ●セキュリティ製品の選定・導入・サポート |
Analytics & IoT(注) |
IoTを活用したオペレーション・ビジネスモデルの再構築及びビッグデータの解析・活用 |
●IoTを用いたサービス企画・実装の受託 ●ビッグデータ解析のための製品の選定・導入 |
Next Learning Experience |
IT事業者のNEW-IT化支援及びNEW-ITを実現する人材のための次世代型学習プログラムの提供 |
●NEW-IT人材を育成する研修の企画・開発・実施 ●eラーニングのコンテンツ販売 |
(注) IoT・・・Internet of Thingsの略。様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけで
はなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組み
当社では、これらのサービスライン毎に、顧客の業務改革を実現するためのツール・ノウハウ(以下「ライブラリ」と総称。)を有しております。顧客のニーズに基づいて、ライブラリを組み合わせることで、包括的に顧客の要望に合致したサービスが提供可能になります。
また、NEW-ITを構成する具体的な技術分野としては、モバイル、IoT、ビッグデータ/アナリティクスなどが挙げられますが、それらの新技術を活用するうえでは、「効果を創出するための用途開発(攻めの活用)」と「安全で効率的な運用管理(守りの活用)」の両輪がうまく回らなければなりません。当社では、新技術の登場に合わせて、各業種・業態に合わせた用途開発を行い、体制整備やスキルアップも含めた技術・ノウハウを体系化することにより、顧客の業務改革の支援をしております。
このようなライブラリは製造業における部品同様、タイムリーな供給体制の構築が重要であります。そのため、新規技術につきましては、国内外を問わず、情報収集のためのアンテナを張り巡らし、実用性・可用性・信頼性の観点から評価を行い、常にライブラリ更新をかけております。
なお、当社のライブラリを利用する顧客企業は運輸、金融、製造、建設、流通、官公庁など多岐に渡り、主に大手企業にライブラリを提供しております。業務改革を目的として、いったん弊社のライブラリの利用を開始すると、業務の一部に組み込まれることとなり、例えば、OSアップデートによるアプリケーション改修、ライセンス更新、定期実施する階層別のトレーニング等により、継続的な契約を頂いております。現在提供しているライブラリの代表例は次のとおりであります。
当社のライブラリの代表例
ライブラリ名 |
ライブラリの概要説明 |
導入事例と成果 |
モバイル・アプリケーション |
モバイルを活用したビジネスの革新や業務のデザインを行うライブラリ |
航空会社: パイロット・客室乗務員等がモバイル端末を用いて、運航情報やマニュアルなどを参照できる仕組みを提供 → 紙資源の削減、燃料費の削減、資料管理のための人件費削減 |
モバイル端末管理 |
モバイル端末を業務利用する際の管理体系を設計・定義するライブラリ |
IT会社: エンジニア等が活用するモバイル端末の利用ルールを策定し、デバイス管理ツールの設定・運用に反映 → 運用効率の向上、運用ルールの順守率向上 |
セキュリティ |
NEW-ITの製品/サービス群を活用する際のセキュリティ体系/ルールを定義するライブラリ |
総合商社: NEW-ITの環境に適応したセキュリティポリシーの策定とポリシー順守のためのツール導入 → セキュリティルールの明確化、ルール順守率の向上 |
ビッグデータ解析 |
ビッグデータを活用し、ビジネス/業務の革新を推進するライブラリ |
食品メーカー: 販売データを分析し、売上が増加するタイミングの見極めと販売機会を逸失しないための物流オペレーションの再設計 → 売上増加、販売機会損失の減少、納期順守率の向上 |
クラウド移行 |
クラウドストレージへの移行を推進するライブラリ |
鉄道会社: クラウドストレージを活用した現場の映像管理(現場の担当者が撮影した写真などの管理) → 管理業務工数の削減、データ保全 |
IoT活用 |
IoTを活用し、ビジネス/業務の革新を推進するライブラリ |
地下鉄会社: IoTを用いた設備の点検・保全業務の設計と実装 → 業務の自動化・精度向上 |
NEW-IT人材開発 |
NEW-ITの業務活用における人材のリテラシー向上に用いるライブラリ |
メガバンク: どのようにNEW-ITを活用してビジネスモデルを変革させればよいか、青写真を描き、実行に落とし込む人材の育成 → 新組織立ち上げ、事業計画の立案 |
前述したサービスラインとライブラリの対応関係は次のとおりとなっております。
現在主力のライブラリ(縦軸)とサービスライン(横軸)の対応表
|
Mobile & Sensing Application |
Enterprise Security & Infrastructure |
Analytics & IoT |
Next Learning Experience |
モバイル・アプリケーション |
○ |
|
|
|
モバイル端末管理 |
|
○ |
|
|
セキュリティ |
|
○ |
|
|
ビッグデータ解析 |
|
|
○ |
|
クラウド移行 |
○ |
○ |
|
|
IoT活用 |
|
|
○ |
|
NEW-IT人材開発 |
|
|
|
○ |
(2)NEW-ITトランスフォーメーション事業の特徴
日本国内において、新しいIT技術の活用は法人向けの市場ではなく、個人向けの市場が先行致します。例えば、スマートフォンの利用は個人の生活スタイルを変え、駅などの公共空間でスマートフォンを操作している人を多数見かけることができます。また、メッセンジャーアプリでの情報のやり取りや撮影した写真をスマートフォンに保存したり、友達と共有することは今や日常とも言える光景であります。一方、法人におけるスマートフォンの浸透やワークスタイルの変革はまだまだ緒についたばかりであります。現に、平成26年時点で日本国内全体でのスマートフォンの浸透率は64.2%(出所:総務省「平成26年通信利用動向調査」)ですが、法人に限ってみると31.4%(出所:MM総研「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査」)にとどまっております。
当社は個人向けの市場で起きた変化や新しいIT技術の普及をいち早くとらえ、法人市場で展開することにより、法人向けのIT市場の構造が変化していく機会を取り込んでまいります。ICD JAPANの調査によると、2015年において国内IT市場は14兆7,837億円(前年比成長率0.1%)となっており、2015~2020年の年間平均成長率は0.8%と予測されております。全体の市場としては安定期・成熟期に入ったかのようにも見受けられますが、当社がターゲットとする市場は次の表のとおりであり、成長ポテンシャルが高いことがわかります。
ターゲット市場 |
2014年時点の市場規模 |
2019年時点の市場規模(各種予測データに基づく) |
年平均成長率 |
出所 |
法人向けスマートデバイス市場 |
5,800億円 |
1兆2,000億円 |
19.9% |
富士キメラ総研「2015法人向けスマートデバイス関連ビジネスの全貌」 |
情報セキュリティ市場 |
5,222億円 |
7,341億円 |
8.9% |
野村総合研究所「ITナビゲーター 2015年度版」 |
クラウド市場 |
7,749億円 |
2兆679億円 |
27.8% |
MM総研「国内クラウドサービス需要動向(2015年版)」 |
ビッグデータ市場 |
948億円 |
2,889億円 |
25.0% |
IDC「2015年の市場規模と2020年の市場規模予測」 |
IoT市場 |
1,733億円 |
7,159億円 |
42.6% |
MM総研「IoT(Internet of Things)の国内市場規模調査」 |
また、日本国内のみならず、グローバルな動向にも注意を払うことが必要であります。なぜなら、IT市場においては、前述した成長市場を創り出し、牽引しているのは米国や欧州であり、日本はその動きを数年遅れで追随しているため、絶えずグローバルの市場動向を注視する必要があるからであります。例えば、スマートデバイスは米国での動向を注視しておけば、日本でどのようなサービスが流行するかの予測に役立ちます。
このような時代背景の中、当社が日本におけるNEW-IT分野の先駆者となるうえで、重視している点が3つあります。一つ目は、NEW-ITの国内外の主要プレーヤーと連携し、日本市場にとって最適な技術の組み合わせを実現すること。二つ目は、飛躍的な生産性向上が期待される社会インフラ、金融、製造、流通、医療、行政等各分野において先進的な事例を作り上げ、NEW-IT社会への移行を促進すること。三つ目は、最新技術の実証研究を現場で進め、適用可能なライブラリに落とし込みながら、サービスの標準化を図り、すべての企業がNEW-ITを使いやすいものにすること。これらの3つがNEW-ITトランスフォーメーション事業の特徴でもあり、以下に詳述致します。
① 国内外でのNEW-ITプレーヤーとのパートナーシップ
当社は、国内外でベストプラクティスを創り上げてきたNEW-ITの主要プレーヤーとのパートナーシップを重視した事業展開をしております。例えば、モバイル分野では、Apple Inc.と連携し、iPhone/iPadといったApple製品のグローバルの優良事例を日本国内で展開することを可能にしております。一方、我々が日本発のモバイル活用に関する優良事例を創り上げることがApple Inc.にとってのメリットであり、互恵的な関係にあるといえます。このようなパートナーシップを通じて、NEW-ITトランスフォーメーション事業は自然に強化されていきます。
② 業界トップ企業の獲得と業界内での水平展開
当社の特徴は、業界のトップ企業において事例を創り上げ、当該事例を水平展開することができる能力であります。運輸、金融、製造などの各業界におけるトップ企業をターゲット顧客に設定し、確実にNEW-ITの事例を創り上げることが当社の強みといえます。そのような顧客基盤を形成する際の当社の営業手法としては、①エンドユーザーに対する直接販売、②NEW-ITのプレーヤーとの連携販売、③既存のSIer(システムインテグレーター)との連携販売の3つのルートがあります(事業系統図を参照)。特に、NEW-ITの市場を拡大するうえで、既存のSI(システムインテグレーション)市場や秩序をいたずらに破壊するのではなく、旧来からのプレーヤーを巻き込み、NEW-ITのプレーヤーに変革していくという事業展開に注力しております。例えば、株式会社富士通エフサスとの間でモバイル事業の協業を通じて、新たなプロジェクトを創出し、NEW-IT人材の育成を図っております。
③ 先進的な研究開発とサービスのライブラリ化
今後、当社がNEW-ITを社会のすみずみまで浸透させる際、重要になるのが研究開発であります。生産性向上が期待される産業の変革を担うためには、短期的な視点でサービスをより多くの顧客に提供することよりも、業界を代表する企業と連携しながら、数々の実証実験・研究を繰り広げ、未来の社会像・産業像を創り上げることが最重要であると認識しております。それらの研究の中から、具体的なユースケースとして採用可能な技術やノウハウをライブラリ化し、標準化されたサービスを提供することに当社の特徴があります。
[事業系統図]
当社の事業系統図は、次のとおりであります。
事業系統図において特徴的なのは、当社は、既存のSIer(システムインテグレーター)などのプレーヤーと競合せず、
むしろ、NEW-IT人材・組織の開発などを通じて、既存のプレーヤーと協力しながらNEW-IT市場への移行を図っております。
当社は、無用な競合を避け、すべてのプレーヤーにとってメリットのあるビジネスモデルを構築しております。
(3)NEW-ITトランスフォーメーション事業の将来
急速に進化を遂げる新しい技術分野に挑戦し、日本企業における活用事例を早期に創り上げることがNEW-ITトランスフォーメーション事業の成功の鍵を握ります。したがって、当社では常に最新の技術分野の業務用途を構想し、どのような業種・業態に対して、どのようなNEW-ITの活用可能性があるかを探求しております。
前述したモバイル・アプリケーションやセキュリティなどのライブラリは過去5年あまり研究を重ねたものであり、今後5年が飛躍的に成長する時期となります。当社では1つの技術を10年スパンでとらえており、「前半5年の研究・試行」と「後半5年の実践・本格展開」のサイクルを絶えず回しております。今後5年の研究・試行の重点対象は次の表のとおりであります。
今後主力化を企図しているライブラリ(縦軸)とサービスライン(横軸)の対応表
|
Mobile & Sensing Application |
Enterprise Security & Infrastructure |
Analytics & IoT |
Next Learning Experience |
安全なデータ交換基盤 |
|
○ |
|
|
VR/AR活用 |
|
|
○ |
|
API活用 |
|
|
○ |
|
統合コミュニケーション基盤 |
○ |
|
|
|
(注) 安全なデータ交換基盤
・・・クラウド上にデータを格納することが難しい大企業・政府機関に対して、標的型攻撃を防御しながら、 安全にデータの保存と交換を実現する仕組み。
VR/AR活用
・・・VR(Virtual Reality:仮想現実)及びAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いて、どのよ
うに企業の業務オペレーションの変革を導くかのひな形。
API活用
・・・API(Application Programming Interface)を用いて、自社のシステムと他社のシステムを連携さ
せ、独自のエコシステムを構築するための仕組み。
統合コミュニケーション基盤
・・・メール、FAX、電話などに分散化されたコミュニケーションチャネルを統合し、目的・相手・タイミ
ングなどに応じた最適なコミュニケーションインフラ。
4つのサービスラインごとに整備されたライブラリの活用による業務変革に加え、今後、日本企業はビジネスのデジタル化に対応するうえで、様々なIT技術の活用に挑戦しなければなりません。当社は、R&D(Research & Development:研究開発)サービスラインを有しており、技術のトレンドのみならず、企業の経営ニーズに対する洞察を踏まえ、ビジネスモデルに革新をもたらす技術を企業のニーズに応じて提案し、確実な成果を導き出します。以下の3点が当社の重点的な研究対象であり、各市場におけるNEW-ITの活用による成果創出を模索しております。
① ヘルスケア市場においては、社会保障費が国の財政を圧迫する中、いかに高齢者の健康寿命を延伸し、医療費を適正化するかが課題になっております。当社は、医療サービスにおけるコミュニケーションや物流をNEW-IT化することにより、劇的なコスト削減と利便性の向上を両立させることを狙いとして、遠隔診療やドローンを用いた薬品の配送など、医療サービスの既成概念を根本的に変革するための研究をしております。
② ツーリズム市場(外国人観光客の消費市場)においては、いかに出発地(外国人の居住地)ではなく、着地(日本各地)での消費を促進するかが課題となっております。当社は、外国人が日本を楽しむための有益な情報を効果的に配信し、日本各地の観光地と外国人のニーズをマッチさせることを狙いに、LCCの機内、空港、ホテルなどのタッチポイントにおいてNEW-ITを用いて外国人の消費行動を変革するための研究をしております。
③ 社会インフラメンテナンス市場においては、道路・橋・鉄道などの社会インフラの老朽化が様々な事故を起こしている一方で、財政も厳しい中いかに低コストで高品質なメンテナンス技術を確立するかが課題になっております。当社は、社会インフラの点検データを自動収集し、解析にかけたうえで、最も投資対効果のよい修繕を行うことができるように変革するための研究をしております。
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
平成28年7月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
53(20) |
34.9 |
5.0 |
7,363,977 |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、NEW-ITトランスフォーメーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)労働組合の状況
当社の労働組合は組織されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。