回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
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決算年月 |
平成25年9月 |
平成26年9月 |
平成27年9月 |
平成28年9月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益 |
(千円) |
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持分法を適用した場合 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
( |
( |
( |
( |
1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動による |
(千円) |
|
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投資活動による |
(千円) |
|
|
△ |
△ |
財務活動による |
(千円) |
|
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現金及び現金同等物 |
(千円) |
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|
|
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従業員数 |
(名) |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
(注) 1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
4.1株当たり配当額及び配当性向については配当を実施しておりませんので、記載しておりません。
5.第1期及び第2期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。第3期及び第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。
6.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
7.主要な経営指標等のうち、第1期及び第2期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。
8.前事業年度(第3期)及び当事業年度(第4期)の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けておりますが、第1期及び第2期の財務諸表については、当該監査を受けておりません。
9.第1期及び第2期はキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
10.第3期から「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(企業会計基準第2号平成22年6月30日)、「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準第4号平成22年6月30日公表分)及び「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第9号平成22年6月30日)を適用しております。当社は平成29年5月19日開催の取締役会決議により、平成29年6月7日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っておりますが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
11.平成29年5月19日開催の取締役会決議により、平成29年6月7日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第1期、第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任 あずさ監査法人の監査は受けておりません。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
|
決算年月 |
平成25年9月 |
平成26年9月 |
平成27年9月 |
平成28年9月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
0.10 |
3.26 |
13.33 |
38.65 |
1株当たり当期純利益 |
(円) |
0.00 |
3.14 |
10.02 |
11.39 |
潜在株式調整後 |
(円) |
― |
― |
― |
― |
1株当たり配当額 |
(円) |
― (―) |
― (―) |
― (―) |
― (―) |
当社代表取締役 上野山勝也は、当社設立以前は大学にて機械学習技術の応用研究に従事しておりましたが、平成24年に機械学習技術の研究分野で起こった技術革新(注1)をきっかけに、当社を設立いたしました。当社は社内で開発したアルゴリズムモジュール(注2)を様々なソフトウエアとハードウエア機器に組み込み、それらを利用するユーザーの体験を新しくするアルゴリズムソリューションを展開しております。
設立以降の当社に係る経緯は、以下のとおりであります。
年月 |
概要 |
平成24年10月 |
東京都新宿区に機械学習技術を用いたデータ解析事業を事業目的とした、株式会社AppReSearch(資本金1,000千円)を設立 |
平成25年2月 |
アルゴリズムモジュール「予測モジュール<Predictor>」を開発 |
平成25年6月 |
本店所在地を東京都文京区本郷七丁目「東京大学産学連携プラザ」に移転 |
平成25年11月 |
アルゴリズムモジュール「強化学習モジュール<Reinforcer>」を開発 |
平成26年2月 |
本店所在地を東京都文京区本郷七丁目「東京大学アントレプレナープラザ」に移転 |
平成26年3月 |
アルゴリズムモジュール「推薦モジュール<Recommender>」を開発 |
平成26年8月 |
「株式会社AppReSearch」から「株式会社PKSHA Technology」に商号変更 |
平成26年12月 |
アルゴリズムモジュール「異常検知モジュール<Detector>」を開発 |
平成26年12月 |
アルゴリズムモジュール「テキスト理解モジュール<Dialogue_1>」を開発 |
平成27年3月 |
アルゴリズムモジュール「画像/映像解析モジュール<Recognizer>」を開発 |
平成27年10月 |
アルゴリズムモジュール「対話モジュール<Dialogue_2>」を開発 |
平成27年10月 |
CRM 領域のアルゴリズムソフトウエア(注3)「CELLOR(セラー)」をリリース |
平成28年10月 |
カスタマーサポート領域のアルゴリズムソフトウエア「BEDORE(ベドア)」をリリース |
平成28年10月 |
BEDORE事業(自然言語処理技術を用いたカスタマーサポートソリューション)を会社分割により子会社化。東京都文京区本郷二丁目に株式会社BEDORE設立(現・連結子会社) |
平成28年12月 |
動画像認識領域のアルゴリズムソフトウエア「PKSHA Vertical Vision(パークシャヴァーティカルビジョン)」をリリース |
平成28年12月 |
業務拡張のため、本社を東京都文京区本郷二丁目「本郷瀬川ビル」に移転 |
(注1) 平成24年に機械学習技術の研究分野で起こった技術革新とは、「深層学習技術」と呼ばれる機械学習技術の手
法の登場により、コンピューターが外的環境の認識性能を飛躍的に高めたことを指します。当初、画像認識・
音声認識領域に始まり、現在は様々な人工知能研究の領域に応用され研究が加速しております。
(注2)「アルゴリズム」とは、コンピューター上における課題解決の手順・解き方をいい、「モジュール」とは、汎
用性の高い複数のプログラムを再利用可能な形でひとまとまりにしたものであり、ソフトウエアを構成する
個々の構成要素(機能ごとのプログラムのまとまり)をいいます。当社において「アルゴリズムモジュール」
とは、アルゴリズムを再利用可能な形でプログラムとしてひとまとまりにしたものと定義しております。
(注3) アルゴリズムモジュールを用いて構築されたソフトウエアを指します。
当社グループは、当社及び連結子会社である株式会社BEDOREの計2社で構成されております。当社グループでは、「未来のソフトウエアを形にする」をコーポレートミッションに掲げ、社内で開発したアルゴリズムモジュール(後述「(1)当社グループが提供するアルゴリズムモジュールについて」をご参照ください)を用いたアルゴリズムライセンス事業を展開しております。
当社は、下記の4つのステップでデジタル技術が社会に普及していくと考えており、知的な処理を行う未来のソフトウエアが社会に普及していくと考えております。技術的には、平成24年の機械学習技術の研究分野で起こった技術革新すなわち「深層学習技術」の登場を機に、インターネットに接続されたソフトウエアが、アルゴリズムに置き換わりはじめており、ソフトウエアが以前よりも知的な処理を行うようになってきていると考えております。平成29年現在はアルゴリズムの時代の黎明期にあると考えており、今後、より知的な処理を行うソフトウエアが増加し社会に普及していくと考えております。
また、社会的背景からも、アルゴリズムを用いたソフトウエアのニーズが高まっていると考えております。
第一に、国内においては、人口が減少しており2030年には1.16億人、2055年には0.8億人まで減少すると予想されております(出所:総務省統計局「日本の統計2017 人口の推移将来人口」)。労働人口が減少するなか、人が行っている業務をソフトウエアに置き換えることで、労働生産性を維持・向上させる社会的要請が高まっております。現在、日本の労働人口の約49%に、アルゴリズムを用いたソフトウエアによる代替可能性があると言われており(出所:野村総合研究所「ニュースリリース」平成27年12月)、アルゴリズムソフトウエアが活用される領域は中長期的に拡大し続けると考えております。
第二に、アルゴリズムが学習するデータ量も増加すると考えられ、国内のIoT市場売上規模は、2015年の約6.2兆円から、2020年には約13.8兆円に達すると予測されております(出所:IDC Japan 株式会社「国内IoT市場 テクノロジー別予測、2016年~2020年」)。様々なIoT端末から収集されるデータはアルゴリズムソフトウエアに入力され、アルゴリズムの品質は中長期に高まり続ける構造を持ち、社会のアルゴリズムソフトウエアの活用ニーズはより一層高まると考えております。
当社グループは、アルゴリズムライセンス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
<アルゴリズムライセンス事業の概要>
当社グループは技術分野としては、機械学習技術・自然言語処理技術・深層学習技術を中心にアルゴリズムモジュールを複数開発しております。アルゴリズムモジュールは、様々なソフトウエア及びハードウエア上に組み込まれ、動作いたします。当社グループは、それらの提供を通じて、顧客企業の業務の半自動化・自動化を通じた業務効率化、またはサービス・製品の付加価値の向上、サービス自体のモデル革新の実現を支援しております。
アルゴリズムモジュールの販売形態は2つあり、一つは、顧客企業が保有するソフトウエアもしくはハードウエアに組み込むケース(以下、ケースA)であります。もう一つは、自社のソフトウエアに組み込み、アルゴリズムソフトウエアとして販売するケース(以下、ケースB)であります。なお、収益構造は、ケースA、ケースBの場合でも同様に、初期設定時に受領するイニシャルフィーと、設定後月額で受領するライセンスフィーの2つから構成されております。
2つの販売形態の売上構成は下記の通りであります。
構成 |
第3期 |
第4期 |
第5期 (第3四半期連結累計期間) |
|||
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%)※ |
|
ケースA: アルゴリズムモジュール |
292,489 |
264.4% |
389,506 |
133.2% |
394,497 |
- |
ケースB: アルゴリズムソフトウエア |
- |
- |
70,158 |
- |
310,150 |
- |
合計 |
292,489 |
264.4% |
459,665 |
157.2% |
704,648 |
- |
※当社は、第4期について四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っ
ておりません。
[アルゴリズムモジュールの内容と販売形態]
当社グループは技術分野としては、機械学習技術・自然言語処理技術・深層学習技術を中心にアルゴリズムモジュールを複数開発しております。当社の主なアルゴリズムモジュールは以下のとおりであります。
アルゴリズムモジュール名 |
機能 |
利用用途(例) |
テキスト理解モジュール <Dialogue_1> |
テキストデータの意味理解 例:テキスト内容を理解、テキストを分 類・類型化 |
社内文書からの特定文書の抽出 コールセンターログの分析・見える化 |
対話モジュール <Dialogue_2> |
自然言語処理技術での対話・応答の制御 例:最適な対話シナリオを選択、音声認 識への拡張も可能 |
チャット上の自動対話 ロボットとの自動対話 |
画像/映像解析モジュール <Recognizer> |
画像・映像データ内の物体認識 例:カメラ等のイメージングデバイスの 知能化技術 |
店頭カメラの自動認識機能 |
推薦モジュール <Recommender> |
レコメンデーションによる情報出しわけ 例:ユーザーの好みに合わせてコンテン ツを推薦 |
ECサイト上の商品推薦 ウエブサイト上の情報推薦 |
予測モジュール <Predictor> |
時系列情報に対して未来予測を行う 例:過去の行動履歴からの行動予測 |
ECサイトのユーザーの購買予測 金融機関での与信スコアの構築 |
異常検知モジュール <Detector> |
異常値の検知 例:機器の故障検知、不適切コンテンツ の検知 |
工場の検品処理の自動化・半自動化 |
強化学習モジュール <Reinforcer> |
行動履歴から学習を行う 例:行動履歴を解析し行動を選択する |
顧客シナリオの自動・半自動選択 行動選択の自動・半自動化 |
アルゴリズムモジュールの利用ケースA、つまり、アルゴリズムモジュールを顧客企業のソフトウエアまたはハードウエアに組み込みご利用いただくケースにおいては、初期設定を行った後、当社グループのアルゴリズムモジュールの利用が開始され、業務の一部に組み込まれることとなります。本ケースにおいて当社グループのアルゴリズムモジュールを利用する顧客企業は、金融、電力、広告、小売、医療、製造、セキュリティなど多岐に渡っております。
当社グループはアルゴリズムモジュールを活用した複数のアルゴリズムソフトウエアを開発しており、各業界に付加価値を創造するために、アルゴリズムソフトウエアの販売(ケースB)という形態でサービス提供を行っております。なお、当社グループの代表的なソフトウエアは次のとおりであります。
① CELLOR(セラー)
「CELLOR」は、機械学習技術を用いたCRMソリューションであります。小売業やサービス業など、優良顧客の離反防止や新規顧客のロイヤル化を目的としたCRMソリューションを提供しております。データ分析に多くの時間やコストをかけていたものについて、自動化または半自動化することによりデータ分析の時間やコストが削減できるのみならず、分析結果を基に、ユーザーに広告等を配信することにより優良顧客の離反防止や新規顧客のロイヤル化を行っております。
② PKSHA Vertical Vision(パークシャヴァーティカルビジョン)
「PKSHA Vertical Vision」は、業界や使途の特化型(Vertical型)の深層学習技術を用いた画像・動画像の識別エンジンであり、企業向けに販売を行っております。今後、様々な業界・領域にカメラを中心としたイメージング機器が普及していくと想定されておりますが、それらの様々なイメージング機器と連携して動作し、物体検知や物体認識を実現することでイメージング機器のサービス品質を高め、サービスモデルの変革を支援します。なお、業界や使途を特化することにより、汎用型の画像・動画像の識別エンジンに比べて、特定の業界や使途において、高い画像・動画像の識別精度の実現を目指しております。
③ BEDORE(ベドア)
連結子会社である株式会社BEDOREにて提供している「BEDORE」は、チャット対応・FAQ対応の自動化ソリューションであります。当社グループが保有する業界固有表現辞書(日本語)と、システム構成を業界別に汎用的にすることで、これまで人手で行われていた接客・コールセンター・FAQ対応の自動化・半自動化を実現しております。
アルゴリズムソフトウエア名 |
内容 |
使用している モジュール |
利用用途(例) |
|
機械学習技術を用いたCRMソリューション |
推薦モジュール 強化学習モジュール |
モバイルアプリを用いたデータ分析の自動化、また分析結果を用いたユーザーへの広告等の配信 |
|
領域特化型の動画像認識エンジン |
画像/映像解析 モジュール 異常検知モジュール |
店頭カメラの自動認識機能等の知能化・自動化 |
|
自然言語処理技術を用いた汎用型対話エンジン |
対話モジュール テキスト理解 モジュール 推薦モジュール |
コールセンター接客対応の自動化・半自動化 |
このように、各業界が持つニーズに対し、アルゴリズムを用いた自動化や高品質化が実現できる領域に対しての解決方法を各アルゴリズムモジュールの機能を「組み合わせる」ことで、効果的・効率的に実現することを目指しております。
当社グループが開発しているアルゴリズムには主に機械学習技術が用いられており、当社の事業の特徴を説明するために機械学習技術の内容を以下のとおりご説明いたします。
機械学習技術とは、データを蓄積・活用しアルゴリズムの性能を向上させる技法のことであり、デジタルデータが急増している情報化社会において重要性が急速に高まっております。これまで、ソフトウエアはソフトウエア技術者が一行一行プログラミングを行うことにより作られるのが一般的でしたが、機械学習技術を用いると、データを活用して人が記述することが困難な複雑なソフトウエアプログラムをコンピューターにより自動的に記述することができます。
特に、画像認識、言語解析、音声認識などの人工知能技術分野のソフトウエアは、ソフトウエア技術者がプログラミングを行うことで地道に精度向上を図ってきた長い歴史がありますが、平成24年に機械学習技術の研究分野で起こった技術革新以降、ソフトウエア技術者はアルゴリズムの大枠のみを記述すればよく、後は大規模なデータをソフトウエアに入力し学習させることで多くの変数の値が最適化されていくことを通じ、アルゴリズムの大部分をコンピューターにより自動的に記述することが可能になりました。また、このような手法で構築されるアルゴリズムは、旧来的な手法で構築されていたアルゴリズムよりも大幅に精度向上することがわかっており、近年様々な領域で研究と産業応用が進んでおります。
[一般的なアルゴリズムと機械学習アルゴリズムの違い]
このように、機械学習技術とは、ソフトウエア技術者により一行一行全て記述される一般的なアルゴリズムとは異なり、データを集め、それを学習させることでパラメータ調整を行い、ソフトウエアを構築する技法になります。従って、よい機械学習アルゴリズムを開発するには、目的に沿ったデータを集めることが重要であり、また使えば使うほど(データが増加すればするほど)精度が向上していくという好循環構造を持ちます。当社グループはこの技術特性を正しく理解し、事業成長に効率的につながる事業展開の戦略・戦術を採用していくことを目指しております。
また、当社グループが開発しているアルゴリズムには自然言語処理技術や深層学習技術を用いたものもあります。自然言語処理技術とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術を指しますが、当社グループでは特に、機械学習技術を用いたアプローチを採用しており、自然言語を対象に機械学習技術を用いたアルゴリズムを事業対象としております。深層学習技術とは、機械学習技術の一分野であり多層のニューラルネットワークを用いた機械学習手法であり様々な分野でのアルゴリズムの精度が向上し、多様な分野で活用が進んでおります。この領域も当社グループは重要な技術領域と捉え技術開発・研究開発・製品化を進めております。
(4)アルゴリズムライセンス事業の特徴
当社グループのアルゴリズムライセンス事業の主な特徴としては、以下のとおりであります。
① パートナーシップ戦略:業界のリーデイングカンパニーとの事業提携
当社グループが提供するアルゴリズムソフトウエアは、データを繰り返し学習しながらより自ら精度を高めていくソフトウエアであります。業界最大規模の教師データを持つ業界のリーデイングカンパニーとの連携により、当該業界におけるソフトウエアを開発しております。それらの研究開発の中から、汎用性のある技術やノウハウをモジュール化し、ソフトウエアを開発し提供することに当社グループの強みがあり、当社グループの特徴があります。
② アルゴリズムソフトウエアならではの高い継続率
アルゴリズムソフトウエアはユーザーが使うとデータがアルゴリズムにフィードバックされ、アルゴリズムの精度が向上するという特徴を持ちます。その好循環のデータの流れがプロダクトの品質を高めるため、一般的なソフトウエアに比べ、高い継続利用率を維持することが可能となっております。
③ エンジニア・研究者の獲得・育成
機械学習技術/深層学習技術領域のアルゴリズム構築技術を有するアルゴリズムエンジニアや、莫大なトラフィックを捌くことができるソフトウエアエンジニアは、国内において多くないと考えております。当社グループの事業においては、エンジニア・研究者コミュニティへのアクセスをもとに、大多数(本書提出日現在、設立時から累計で74.3%)を社員紹介によるリファラル採用を実現しております。また、エンジニアの働きやすい、また働きたい環境を整えることを通じて、エンジニアの獲得・育成を行っております。
④ 組織構造等
当社グループは、前述の通り、業界が持つニーズに対し、アルゴリズムを用いた自動化や高品質化が実現できる領域に対しての解決方法を各アルゴリズムモジュールの機能を「組み合わせる」ことで、効果的・効率的に実現することを目指しておりますが、それらを実現していく上でのアルゴリズムモジュール群を保有していること及びエンジニア中心の組織構造を構築している点(本書提出日現在、全従業員に占めるエンジニアの割合は90.3%)が当社事業の独自性であると認識しております。
<事業系統図>
用語解説
本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。
用語 |
用語の定義 |
アルゴリズム |
コンピューター上における問題を解くための手順・解き方 |
アルゴリズムソリューション |
アルゴリズムを利用して企業における業務上のさまざまな問題点を解決すること |
モジュール |
汎用性の高い複数のプログラムを再利用可能な形でひとまとまりにしたもの |
アルゴリズムモジュール |
アルゴリズムを再利用可能な形でプログラムとしてひとまとまりにしたもの |
アルゴリズムソフトウエア |
アルゴリズムモジュールを用いて構築されたソフトウエア |
機械学習技術 |
人工知能技術の主要な研究分野。データを反復的に学習させ、そこに潜むパターンを見つけ出すことで、コンピューター自身が予測・判断を行うための技術・手法 |
自然言語処理技術 |
人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術 |
深層学習技術 |
ディープラーニング(Deep Learning、深層学習)。ニューラルネットワークにより機械学習技術を実装するための手法の一種。従来の機械学習技術では人間が特徴量を定義する必要があった(複雑な特徴を表現できない)が、ディープラーニングではアルゴリズムが教師データから特徴量を抽出できる技術・手法 |
ニューラルネットワーク |
生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル |
特徴量 |
教師データにどのような特徴があるかを数値化したもの |
教師データ |
機械学習を行う上で、学習の元となるデータ |
CRM |
顧客関係管理(Customer Relationship Management(CRM))。顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略/手法 |
API |
アプリケーション・プログラム・インターフェース(Application Program Interface)の略。アプリケーションと、プログラムの間のインタフェース。自己のソフトウエアを一部公開して、他のソフトウエアと機能を共有できるようにしたもの |
ASP |
アプリケーション・サービス・プロバイダ(Application Service Provider)の略。アプリケーションの機能をネットワーク経由で顧客に提供 |
AI |
Artificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピューターシステム |
IoT |
Internet of Things の略称。コンピューターに限らず、家電製品や自動車等のハードウエア機器をインターネットに接続し、情報をやり取りすることで生まれるイノベーションの総称 |
エンジン |
コンピューターを使用し、さまざまな情報処理を実行する機構 |
該当事項はありません。なお、第4期事業年度末後、平成28年10月に当社からの会社分割により、株式会社BEDORE(連結子会社)を設立いたしました。その詳細については、以下のとおりであります。
名称 |
住所 |
資本金 |
主要な事業 |
議決権の所有 |
関係内容 |
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
株式会社BEDORE |
東京都文京区 |
2,500 |
アルゴリズムライセンス事業 |
100.0 |
役員の兼任(3名) |
(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2.特定子会社に該当する会社はありません。
当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。
平成29年6月30日現在
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
アルゴリズムライセンス事業 |
30 |
(注) 1.従業員数は就業人員であります。
2.最近日までの1年間において従業員数が13名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。
平成29年6月30日現在
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
28 |
30.8 |
1.0 |
6,326 |
(注) 1.従業員数は、当社から子会社への出向者を除いた就業人員であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.最近日までの1年間において従業員数が12名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。